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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (24)
- 2006/09/29(Fri) -

 手に持っている、ポータルを自分の胸に仕舞い、リシェットの言葉に、ゲルドリックは、顔を顰めた。
「では、俺が来る前に、既に一戦交えたと言う訳か!」
 再び、セグナの方へ、顔を向けるゲルドリック。
「だから?私にとって彼は、何の障害にすらならなかったわ。相手して、愉しめたわ。別に貴方が気にする必要無くてよ。それに、もう、貴方の相手をする準備は出来ているもの!」
 リシェットの右手から発する魔導は、より一層、その光を強め、いつでもゲルドリックに向けて攻撃を仕掛ける事が可能な態勢を取っていた。
「まあ、待て。その前に、あそこにいるセグナと少し話がしたい。少々時間をくれないか?リシェット」
 リシェットへ手を前に突き出し、待ったの合図を出すゲルドリックだった。
「こんな時に、仲良くお話?……怖気付いたのかしら?フフフッ!」
 まるで、相手を挑発するかの様な、悪戯的な笑いをする。
「ああ。ちょっと奴に、忠告するだけさ!良いか?」
「………別に、私は構わないわよ。貴方を始末するのが、早いか遅いかの違いだしね。……でも、彼は、待ってくれない様よッ!」
 ドンッ!
 リシェットが言葉を切ると、ゲルドリックの背後で何か重い音が鳴り響く。
 ゲルドリックの背後から、圧倒的な威圧感を放つ、良からぬ物体が現れ、ゲルドリックは、背後へ振り向いた。
 そこには、ゲルドリックを立ち塞ぐ様に、ずっしりと構えた、今まで、ドワーフゴブリンと戦闘を繰り広げていたはずのケンタウロスだった。
「フン!……召喚獣か!だが、右肩から胸、左脇腹に深手を負っているな。息も荒い。そんな状態で、まともに戦えるのか?」
 ゲルドリックは、冷静に相手を観察しながら問う。
 しかし、ケンタウロスは、ゲルドリックの言葉を無視して、既に振り上げていた斧を、振り落としていた。
 ドガンッ!!
 ケンタウロスの攻撃に対して、素早く横へ回避するゲルドリックだった。
 斧が振り落とされた地面は、軽く、半径40センチの穴がポッカリと開いて、斧が埋まっている。
 傷を負ったと言え、これだけの破壊力。まともな体であれば、辺りの地面を叩き割る事が可能であろう。
「俺の言葉を無視か。ならば仕方が無い。俺もお前に似合った物を出させてもらうぞ!」
 そう言うと、ゲルドリックは、自分の身に着けているマントの端を掴み、広げた。
 すると、マントの裏地が黒く、水を張った水面の様な波紋が出来、そこから黒い物体が徐々に姿を現す。
 全身はケンタウロスと引けを取らないほどの巨体。そして、頭が二つ。全身は黒く尻尾が三本。まさに、魔物と言うべき物体がケンタウロスの前に現れた。
 そう、この魔物は、セグナの戦いの時に、ゲルドリックが移動手段として用いた、ケルベロスだった。
「機嫌の悪さは、相変わらずか。ケルベロスよ!」
 無造作に、ケルベロスの頭を撫でるゲルドリック。
「へぇ~!ネクロマンシーが、召喚魔術の真似事?初耳だわ!」
 不意に、リシェットが、意外そうに言葉を発した。
「安心しろ!お前みたいに、何でも召喚出来る訳ではない。いわゆるこいつは、俺のペットの様な物だ!」
 ゲルドリックは、少し笑みを浮かべ、リシェットに対して、言葉を返した。
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ご希望にお答え致しまして・・・・・
- 2006/09/28(Thu) -
即席ですが、ケンタウロス&ドワーフゴブリンを描かせて頂きました。

20060928034441.jpg


なんとも、ドワーフゴブリンが、パイプをふかしている姿が、渋いですね。

斧を持っていないと言う、予想外の展開です☆



後、ちょっとした、お知らせです(^▽^)つ

只今、考案中の[Necro Boy]以外の短編小説を、予定していたりしております♪

いつ、掲載するかは、今の所、未定ですが、出来る限り近い内に掲載出来たらと思っております~☆


20060928035606.jpg


Kikurageでした~(^▽^)ノシ
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (23)
- 2006/09/27(Wed) -
セグナの爆破に影響を受けてか、ゆっくりと静かに、身を起こすリシェット。
「ッッ……!やってくれたわねッ!この私に冷や汗をかかせるなんて……、少し、あの男を甘く見ていたわ」
 と、左肘を右手で押さえながら、本来、罠を仕掛ける事を得意とする自分が、相手の仕掛けた罠に、まんまと嵌ってしまった事に対して、少々悔しそうに呟いた。
 リシェットの体は、爆破による外傷は無く、擦り傷一つ見当たらない。
 セグナの仕掛けた爆破によって、至近距離からその爆破の威力を直接的に受けている事は、間違いなかった。
 だとしたら何故、彼女は、外傷を負わずにその場を切り抜けたのか。
 それは、セグナの合図によって、爆破された罠を受ける瞬間、リシェットが深緑の蜃気楼を維持させる為に空中に舞っていた花の花粉に魔導を送り込んでいた物を即座に中断させ、身を護る為に、その魔導を自分の体の周りを壁の様に覆い、辛うじて、直撃を避けていたのだった。
 しかし、リシェットが行った、この一連の動作は、余裕と言う表現からは、程遠い物であった。
 あと刹那、対応が遅れていたら、間違いなくリシェットは、爆破の威力と、その吹き飛ぶ程の風圧を受けて、戦闘不能になっていた事は、間違いなかったであろう。
 爆破後、魔導で直撃を免れたリシェットだが、爆破の風圧まで防ぐ事は出来ず、そのまま爆破の勢いに身を任せるしか出来ないでいたのだ。
 リシェットは、何かに気付いた様に、辺りを見回す。
「………無いわね。爆破を防ぐに気を取られて、つい、離してしまったポータルが……、何所かに落ちている筈なのだけれど……」
 リシェットは、呟きながらも、尚、落とした筈のポータルを、地面を見回し探す。
「探し物はこれか?」
 突如として、耳に入る声に、地面を見回す為に俯いていたリシェットが顔を上げて、声のする方向に目をやった。
 少し離れた場所で、黒いマントで身を包み、片手にリシェットが探していた物を持っている男が立っていた。
「………ゲルドリック!」
 リシェットは睨みを利かせ、呟いた。
「これは、返してもらうぞ。リシェット・グリーグ・エストラッド!」
 ゲルドリックも又、リシェットの方向へ向き、眼を細めた。
「私が、貴方のポータルを落として、無様な格好が意外と言った顔をしてるわね。こんな無様な私の姿がおもしろい?」
 左肘を摩り、皮肉交じりに答えるリシェット。
「………」
 ゲルドリックは何も言わずにリシェットと辺りを観察する。
「何か言ったらどうなの?」
 そんなゲルドリックに対して、強めな口調で発する。
「俺が来る前に、何をやらかしていた?爆発音で駆け付けてみれば……、あいつは………セグナか」
 リシェットの立っている位置とは、反対側の方向を凝視するゲルドリック。
「貴方が此処へ来る前に、一人お客さんが来てね。予定が狂ったわ!貴方の反応を見ると、貴方の差し金って訳じゃないみたいね」
 リシェットは右手を前に広げ、緑白い魔導を発動させると、構え始めた。
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (22)
- 2006/09/24(Sun) -
「あ~、嫌だねぇ~。自分の魔導を使って、取り除く破目になるんてよう」
 そんな事をぼやきつつ、慣れた手つきで足を確りと糸で、結んで行く。
 と、セグナは不意に、ドワーフゴブリンとケンタウロスが気になってその方向へ目をやる。
 すると、セグナの位置からでもハッキリと分かるほど、ドワーフゴブリンの体が薄く透けているのが確認できる。
「あいつ……、相当にヤバイなぁ。ケンタウロスを相手にさせるのは、ちと、無理があったか………」
 ドワーフゴブリンの姿を見て、反省するセグナだった。
 回転しながら大きく左から旋回してくる、ケンタウロスの放った斧を、軽く身を引き、かわすドワーフゴブリン。
 斧を投げて、武器を持っていないケンタウロスの隙を狙い、大きく前へ切り込みに入った。
 ドワーフゴブリンがかわした斧は、依然と回転させながら旋回を続け、まるでブーメランの様な軌道で、再び、ドワーフゴブリンの方向へ向かう。
 ドワーフゴブリンには、もう残された時間は僅。ケンタウロスの放った斧などに、気を取られている暇は無い。とにかく、前に出て、直接ケンタウロスに近付き、確実なダメージを与える他、無かった。
 ケンタウロスは、素早く右横へ移動。自分の投げた斧とドワーフゴブリンを挟んで一直線になる位置で待ち構える。
 ドワーフゴブリンは、ケンタウロスの動きに合わせ、体を左へ切り返し、斧を振り上げ、ケンタウロスの近くまで踏み込む。
 そして、ケンタウロスの首に目掛けて、大きく斧を縦に振り下ろした。
 だが、振り下ろした斧は、ケンタウロスによって、ドワーフゴブリンの腕ごと簡単に、受け止められた。しかも、ケンタウロスの逆の手で首を捕まれたまま、持ち上げられる。
 押さえられたドワーフゴブリンの後方には、一周の旋回を経た、ケンタウロスの回転した斧が迫っていた。
 当然、これは、ケンタウロスの狙い。ドワーフゴブリンにとって、わざと避け易い攻撃を放ち、無防備を装って自分へ攻撃のチャンスを見せ掛けた罠。
 今までの一連の戦いで、ドワーフゴブリンが、戦いを熟知している事は、ケンタウロス自身、承知している。ならば、普通に武器で交えるよりも、直接、相手を捕らえてしまう方が、ドワーフゴブリンよりも力のあるケンタウロスとって、効率的だったのだ。
 一度、体を取り押さえてしまえば、いかに、ドワーフゴブリンが戦いに優れていようとも、テクニックなど問題ではなく、力だけが物を言う。
 ケンタウロスは、そう考えての行動だった。
 この土壇場で、旨くケンタウロスの策略に嵌まってしまったドワーフゴブリンは、必死に自分の力で足掻いても、満足に回避する事も侭ならない。
 風を切る音が聞こえる程に、ケンタウロスの斧は、直ぐそこまで迫っている。
 圧倒的なケンタウロスの力の前では、なすすべが無く、ドワーフゴブリンは、咄嗟に、ケンタウロスに対して抵抗していた力を抜いた。
 すると、ドワーフゴブリンは、赤い気体と化し、そのまま消えてしまった。
 元々魔導の効果が消え掛けていたドワーフゴブリンは、自ら早めに消える事を選んだのだ。
 取り押さえていた、ドワーフゴブリンが完全に消えてしまった事に、呆気に取られていたケンタウロスは、ドワーフゴブリンを倒す為に仕掛けた自分の斧に対応を忘れ、その勢い良く回転した斧を体に受けた。
 ドワーフゴブリンが、自ら早く消えたのは、この事を計算しての事だった。
 結局、ケンタウロスを倒す事は出来なかったが、消える最後まで、計算された彼の行動は、戦いにおいて、全く無駄が無かったと言えよう。 
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[Necro Boy] パロる!
- 2006/09/22(Fri) -
―――これは、たった、一つのあるものを巡る、ゲルドリックとセグナの二人の醜い争い・・・・。

注*[Necro Boy]のキャラクターのイメージを壊したくない方は、けして続きを開かない事をお薦め致します。 
(Kikurage)
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (21)
- 2006/09/20(Wed) -


               3


 ひっそりと、頼り無く灯る街灯。その街灯の光さえ飲み込んでしまいそうなほどの暗い道。
 冬の乾燥した冷たい風にマントを揺らしながら歩くゲルドリック。
「―――」
 顎を親指で摩りながら、難しい顔をしていた。
 そのまま暫く進むと、リシェットに指定された公園らしき入り口が、ゲルドリックの視界に入った。
 石で出来た門の所に、やすらぎの森自然公園と掘られた文字があった。
「此処か……」
 ゲルドリックは、短く呟いた。
 リシェットが、いつ襲って来るか分からないゲルドリックは、公園の敷地に足を踏み入れると同時に、眼を細め、観察力と警戒心を強めた。
 ポータルが無く、魔導が使えない状態にあるが、最低限の身構えを備える。
 入り口は灯りが無く、周辺は木々ばかりで暗い。アスファルトで舗装された一本の道があるだけ。
 ゲルドリックは、その道を進んで行く。

 ドォーーン!

 ゲルトリックの歩いている途中に、突如として、爆発音が鳴り響いた。
「ンッ!?」
 ゲルドリックは、その爆発音の方向へ眼をやる。
 背の高い木々の間から、煙が上がっているの様子が、ゲルドリックの位置からでも確認出来た。
「爆…発だと……?俺が到着する前に、既に、戦闘が行われていると言うのか?おそらく一人はリシェット。では、もう一人は………」
 今起きた爆発。その意外な事実に、ゲルドリックは、そう呟いた。
「まさか……!」
 ゲルドリックは、思い当たったのか、突然声を上げ、急いで爆発の方向へ走り出す。
 爆発、身近な魔導使い、このキーワードで、もし、ゲルドリックの知っている人物だとしたら、ゲルドリックの思い付く限り、該当する者は、一人しかいなかった。

               +

 セグナは、自分の仕掛けた爆発を見届けると、力が抜けた様に、そのまま地面に倒れこんだ。
 ドサッ。
「いてぇッ!」
 足に纏わり付いているカビのせいで、足に力が入らなくなっていたのだった。
「何だこりゃ!膝の先から感覚がまったくねぇ~ぞ。おいッ!」
 座り込んだ体勢で、カビに覆われた部分をまじまじと見ながら独り言いうセグナ。
 カビを指で触り観察するが、ビッシリと覆われている為、普通に取り除くのは不可能と判断したセグナは、自分の糸を取り出して、足に巻き付け始めた。
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[Necro Boy]の設定説明2回目位?
- 2006/09/18(Mon) -
深緑の蜃気楼

本編での説明が、あまり足りないと思いまして、補足説明させて頂きます。

本編で、リシェットが使ったワザ『深緑の蜃気楼』は、リシェットが召喚によって出現させた、花の壁(高く伸びたツルと白い花)をセグナが、爆破的な攻撃を与えてしまったが為に、その爆破の振動と共に花から「花粉」が辺りに舞い、その辺りに舞った花粉をリシェットが魔導を用いて、セグナに幻覚を見せていた現象でした。

花の花粉とリシェットの魔導の組み合わせで、初めて発揮する現象。
コラボレーション的なワザです!
この記事のURL | [Necro Boy]の設定 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (20)
- 2006/09/17(Sun) -
ドワーフゴブリンの予想外な攻撃を顔面に受けて、体勢を崩し、倒れ込んだケンタウロスだったが、直ぐに持っている斧を杖代わりに体を支え、起き上がる。
 既に、次の行動の為に斧を前に構え、体勢を整えるドワーフゴブリン。
 ケンタウロスは、けしてドワーフゴブリンを侮っていた訳では無かった。唯、高度な戦術の術をドワーフゴブリンは身に着けていたのだった。
 ドワーフゴブリンは、今までにどれだけの戦いを経験してきたのか、戦いに対する熟練度は、相当な物。
 でなければ今頃、とっくに、ケンタウロスの並外れた力強さに捻じ伏せられていた事は言うまでも無い。
 それだけドワーフゴブリンは、ケンタウロスにとって、侮れない相手と言う事であった。
 現に、初めに攻撃を受けたケンタウロス。彼自身、相手に取って不足は無いと再度、確信した。
 戦いが始まった以上、勝ち負けをハッキリさせなければならない事を彼は知っている。
 ブォーン!
 ケンタウロスは、両手で斧を高く上げ、そして、斧の柄の部分を回転させ始めた。
 大技で、一気に片を付ける気でいる。
 ケンタウロスの斧の回転する遠心力で、辺りに旋風が巻き起こる。
 そんなケンタウロスの姿を凝視しながら、ドワーフゴブリンは、自分に残された時間が短い事を察していた。
 何故なら、彼自身の体が薄く透け始めていたからである。
 ドワーフゴブリンは、ケンタウロスの様に、召喚で呼び出された訳では無く、あくまで魔導の力によって実体化したに過ぎなかったのだ。
 魔導は、何時までも永続的に維持できる物では無く、ある一定の時間と共にその効力を失い、消えてしまうのだ。
 魔導の力の延長に過ぎない彼にとって、この問題は避けられず、どうしようも無い事であった。
 だが、彼も又、そんなハンデや条件と言った枠を一切無視し、唯、眼の前の相手と最後まで戦い抜く事を決心いる。
 おそらく、今回の衝突がドワーフゴブリンにとって、最後になる。
 たとえ、限られた時間内に、倒せないとしても、出来るだけ相手にダメージを与える。それが、自分を生み出してくれた者への礼儀。
 ケンタウロスが、頭上で回していた斧を投げた。
 セグナは、深緑の蜃気楼の中で、幻覚のリシェットを見ながら、煙草の煙をゆっくりと吐いた。
「移動する必要が無いですって?貴方は移動せずこの私に対して何が出来ると言うの?強がりを言う物では無いわ!」
 相変わらず色々な方向から響くリシェットの声。何処から発しているか特定は出来ない。
「こうやって、俺が落ち着いている理由を教えてやろうか?」
 唐突に、セグナはリシェットに対して話し始めた。
「貴方、自分がどの様な状況に置かれているか、理解しているのかしら?」
 リシェットにとって理解不能なセグナの言葉に対して、現状を求める。
「あんたは、既に、召喚を2体出現させ、この深緑のなんたらと言う現象と、俺の足にへばり付いてるカビ。それで、一度に引き出せる魔導のキャパシティーは限界だ。俺に対して、これ以上の追加攻撃を出来ないと見た!」
「それが、貴方の落ち着いている理由?だから何?貴方が不利な立場にあるのは変わらなくてよ?」
「もう一つ。俺は、あんたに攻撃を仕掛ける前に、あんたの周りを回ったのを憶えているかい?あの時に、俺の糸と魔導を地面に仕掛けて結界を張ったのさ。あんたのいる位置は、この現象のせいで確認する事が出来ないが、あんたは今、俺の仕掛けた結界の中にいる事は、はっきりと分かるぜぇ!」
「クッ……!」
 リシェットは、セグナの言葉を聞いて、その場を移動しようとした。
「もう遅い」
 セグナは、そう言うと、指を鳴らした。

20060917164820.jpg


 ドォーーン!

 セグナの合図と共に、リシェットの立っている位置の地面から、激しい爆発が起こった。
「自分の置かれた現状を理解していなかったのは、あんたの方だったなぁ!」
 セグナは、静かに、そう呟いた。  
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (19)
- 2006/09/14(Thu) -

セグナは再度、糸でリシェットに攻撃を試みるが、さっきと同様に、透き通りそこから小さく細かい緑色の粒子が舞うだけだった。
「チッ、見えていやがるってのに、攻撃しても当たらねぇ………。この訳の分からねぇ現象の正体はなんだ?」
 セグナの予想の範疇を超えた現象だが、注意深い観察力と思考をフル稼働させる。
「フフフッ。貴方は、既に、〝深緑の蜃気楼〟の術中に嵌っているのよ!」
 エコーが掛かった様に響くリシェットの言葉。セグナには、空間のあらゆる方向から聞こえてくる。
 慌てて辺りを振り返るセグナだが、当然、リシェットの姿は無かった。
「クソッ、なめ腐りやがってぇ!」
 拳を握り締め、込み上げて来る苛立ちを押さえながら、愚痴を漏らすセグナ。
 だが、彼は、リシェットを攻撃した時に、決まって舞う細かな緑色の粒子が気になっていた。
 しかも、攻撃が透ける所を見ると、リシェットの姿は見えてこそいるものの、おそらくそれは本物では無く、リシェットの言う蜃気楼か幻の類であると確信するセグナ。
 だからと言って、原因が分から無いまま不用意に行動を起こすのは、危険を伴う事である。
「じゃあ、さっきから匂う、この甘ったるい香りは………………!!」
 セグナは、考えを口元で呟きながら、ある事に気が付いた。
 それは、空間に漂う甘い匂いが、より強まっていた事だった。さっきこの位置に移動する時に感じた匂いは、仄かに香る程度だったが、今は、はっきりと分かる程に匂いが濃くなっている。
 この事によって、セグナが、ある物の位置を確認する。
「なるほど。あの植物か」
 もう一つ気付いた点が、さっきよりも、リシェットが召喚した、高くツルを伸ばした緑色の植物が近い位置にあると言う事実だった。
 セグナの次の行動は、もう決まっていた。
 そう、この不可解な現象を食い止めるには、白い花が咲き乱れている植物ごと火葬する。それが一番簡単な方法だった。
 糸に思いっきり魔導を送り込み、植物へと移動を開始した。
「あら!どうやら、早くも〝深緑の蜃気楼〟の正体に気付いた様ね。案外優秀よ。貴方。でもね、そう簡単に防ぐ事が出来るのかしら?今の貴方に!」
 意味深なリシェットの言葉が響く。
 セグナは、移動を開始して、初めてリシェットの言葉を理解した。いや、正確には、移動しようとして、足がやけにもつれる事に気付いたのだった。
「なっ………!?」
 セグナは、驚きと共に自分の足元へ眼をやる。
 そこには、セグナの両足、爪先から膝の下の部分に掛けて、白や灰色の付着物が覆っている。
 セグナの足のもつれは、いつの間にか覆っている、この付着物によって足が麻痺し、それに伴って感覚を失っていたからであった。
「貴方は、暫く同じ場所で留まっていたから、〝忍び寄るカビ〟の餌食になったのよ。貴方はもう……、満足に歩く事すら出来ない。此処でお仕舞いね。私に関わらなければ、命拾いしたものを……、自分のお節介な性格を恨みながら死になさい!」
 リシェットはセグナに対して、勝ち誇った様に罵声を浴びせた。
「………ふぅ。参ったね。こんな物までし掛けて来るなんてよぅ。これには気が付かなかったよ。今も気を抜くと倒れそうだ」
 息をゆっくりと吐き、胸元から煙草を取り出し、一本を口に銜え、落ち着いた様子で、話し出すセグナ。
「そう。諦めた訳ね。潔くて、とても素的だわ!」
 セグナは、ポケットからオイルライターを取り出して銜えた煙草に火を点け、言葉を続ける。
「勘違いして貰っちゃぁ困る。俺は、別に諦めた訳じゃないぜ?此処から移動する必要が無くなっただけだ!」
 それは、はったりや強がりと言った様子では無く、真剣にリシェットに対して返す言葉だった。
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サイドバーの掲示板につきまして・・・
- 2006/09/14(Thu) -

訪問して下さっております皆様の交流を目的と致しました掲示板を貼らせて頂いたのですが、設定の関係で、Kikurage World自体が不具合が生じまして、重くてなかなか開けないと言った、現象が御座いましたので、新しく掲示板を張り替えると言った処置を行いました。

折角、コメント下さいました方々に深くお詫び申し上げますm(_ _)mペコリ
新しく掲示板を貼りましたので、今後もご自由にカキコをどうぞ!

落書きボートと言う新しい物も設置致しましたので、宜しかったらそちらもどうぞ!
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (18)
- 2006/09/13(Wed) -

ケンタウロスの脅威的な突進を真っ向から受け止めたドワーフゴブリンは、斧でケンタウロスの斧を横へ払い除け、その斧の重みと反動を利用し、まるで、ハンマー投げをするかの様に体を一回転させて、ケンタウロスに対して、横から斧を振り回す。
 ガァーーンーー!
 鉄製の超重量武器同士が衝突する轟音が鳴り響く。お互いの武器が衝突する度に、風圧が辺りを突風と化す。
 ケンタウロスも、振り払われた斧を持ち替えて、盾として構え、ガードしていた。
 ケンタウロスとドワーフゴブリンの激しい鍔迫り合いの最中、お互いに語らずとも分かり合える唯一の物がそこにあった。

 ―――それは、戦う事でしか自分を量れない者の闘争心から来る戦いの愉しさ―――

 お互いにそれを表現出来るのもまた、戦いの時だけである。
 ケンタウロスは、自然と笑みを零し、ガードした体勢から自慢の怪力で、再びドワーフゴブリンを振り飛ばした。
 地面から足が離れた状態で、振り飛ばされたドワーフゴブリンは、斧を横に持ち、体を回転させて、振り飛ばされる力の緩和させ失速した所で綺麗に着地。
 それでも、ケンタウロスの所から、軽く20メートル位の距離が離れていた。
 ケンタウロスは、物理的な全てに措いて、桁外れなまでの超人的な怪力を見せているが、ドワーフゴブリンも戦いの手法で言えば、けしてケンタウロスに負けてはいない。
 ドワーフゴブリンは、持ち前の怪力はあるものの、どう足掻いても、ケンタウロスとの体格さで、劣ってしまっている。
 それは、ドワーフゴブリン自身、最初から承知している事である。
 だが、そのハンデを克服出来ないほどドワーフゴブリンは、落ちぶれてはいなかった。
 自分の体格の小ささと重い武器を逆に利用して、無駄の無い効率的の戦い方をしていたのだ。
 体の小さいドワーフゴブリンが体の大きいケンタウロスと、互角に渡り合えている理由がそこにあった。
 ケンタウロスを〝力〟とするのならば、ドワーフゴブリンは、〝テクニック〟と言った所である。
 斧の柄の端ぎりぎりの部分を片手で持ち、それを背中で抱えた格好で助走を付け、ケンタウロスへ真っ直ぐ突進を掛けるドワーフゴブリン。
 そんなドワーフゴブリンの行動に、ケンタウロスは、斧を両手で握り締めると、ドワーフゴブリンを力尽くで叩き潰す勢いで、斧を振り上げた状態のまま待ち構える。
 ケンタウロスへ向かって一直線に走るドワーフゴブリンは、ケンタウロスの構えに臆する事無く、むしろ、突進のスピードを上げた。
 この二人が衝突するまであと―――10メートル弱。
 ケンタウロスは、腰を低く保ち4本の脚に力を入れ、地面と密着させる。
 ―――7メートル。
 ドワーフゴブリンは、片手で持っている斧の柄にもう片方の手を添える。
 ―――4メートル。
 振り上げた斧を、ケンタウロスは、絶好なタイミングで、振り下ろす。
 ―――3メートル。
 この時点で、ドワーフゴブリンは、利き足の踏み込みをバネに空中へジャンプする。
 ―――2メートル。
 ドワーフゴブリンの予想外の行動を眼の辺りにしたケンタウロスは、斧の振り下ろしから急遽、斧を横に構えガードの体勢に入った。
 ―――1メートル。
 ケンタウロスの若干手前に体ごと斧を勢い良く振り下ろしたドワーフゴブリン。
 ―――0メートル。
 外したかに見えたドワーフゴブリンの攻撃は、敢えて斧を空中で空振りさせて、またもやその反動を利用し、体を縦に半回転させて、ケンタウロスのガードを避け、顔面に両足ごとヒットさせた。
 顔面に衝撃を受けたケンタウロスは、重心を支え切れず、後へ倒れ込んだ。
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (17)
- 2006/09/11(Mon) -

セグナの放った物が、リシェットを守るツルの壁に衝突する。

 バァッーーン!!

 衝突した途端、四方八方に爆風が飛び散り、爆破した所から焼けた臭いと共に煙が立ち込む。
「その程度では、私に傷一つ付ける事は出来ないわね」
 煙の向こう側から、リシェットの言葉が響く。
「クソッ。やっぱりこんな物じゃ、脅しにも為らねぇか!」
 チッ、と舌打ちをして、歯を強くかむセグナ。
 辺りを立ち込めていた煙が消え、ツルが露になる。
 流石に、爆破した所は吹き飛んでいるが、小さな丸い穴が開いている程度であった。
「これはね、見ての通り植物よ。だけど、これも私が召喚した物。白くて綺麗な花を咲かせるでしょ?」
 リシェットは、スッと背の高いツルとツルの間から姿を現し、その植物が咲かせている花びらを触りながら、セグナに話し掛ける。
「その植物みてぇなのを、召喚で出しただと!?」
 セグナは顔を強張らせて、より一層、警戒心を強めた。
「フフッ。可愛い反応してくれるわね。でも、この植物に警戒する必要ないわ。攻撃的な事は一切出来ない唯の壁に過ぎないもの。貴方が警戒するのは、私だけで十分だわ」
 セグナに対して警戒感が無い様な態度のリシェット。
「ああ。上等だぁ!」
 強く発した言葉と同時に前方へ踏み込み、セグナは、リシェットへ攻撃を仕掛けに入った。
 さっきと同じように右腕から素早く赤白く光った糸を左手で引き出し、魔導で糸を編み込む。
 そして編み込んだ糸をリシェットへ放つ事無く左手に掴んだまま走る。
「………!?」
 セグナは走りこむ途中で、微かに鼻に衝く何かを感じた。それは、仄かに甘い香り―――。
 戦いで培って来た咄嗟の勘で、かなり危険と、頭の中で分かっているセグナだが、リシェットから距離を取り過ぎると一向に勝機が見えない事も分かっている。
 セグナは、敢えて鼻に衝く香りを無視して、己の目的を果たすべく、リシェットに近付き、至近距離から左手に持っている糸で、リシェットを捕らえる。
 だが、セグナの放った、糸は、リシェットの体を捕らえる事無く、透き通った。
「何ッ?」
 放って捕らえ様とした糸の空振りにより、セグナは、体勢を崩し掛けたが、足を大きく前に出して持ち堪えた。
 糸は確実にリシェットをたら得たのだが、糸が透き通ったリシェットの体の部分だけ歪み、緑色の粒子が舞ったのだ。
 今起こった不可解なこの現象が、さっきから微かに香る匂いと関係があるとセグナは判断した。
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最近の連載ペースの乱れにつきまして・・・
- 2006/09/10(Sun) -
小説のUPのペースが、遅れていまして、訪問して下さっている皆様に大変ご迷惑を掛けております。

小説の構成を考えて手掛けておりますが、内容に行き詰る事が多々ありまして、遅くなっております。

自然共存を求む者(17)は、もう少々お待ちくださいませ。

お詫び申し上げますm(_ _)mペコリ
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新しいカテゴリーを追加してみましたぁ~!
- 2006/09/09(Sat) -
新しく、プロフィールと登場人物紹介のの下に、BBS(掲示板)を設置してみました(^0^)

ご訪問して下さっている皆様同士で、楽しく交流を深められたらと思いまして、設置させて頂きました♪

書き込みの内容は、何でも構わないですので、もし、宜しかったら、ご自由にどうぞご利用下さいませ(^▽^)つ
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (16)
- 2006/09/07(Thu) -

リシェットの所まで、あと10メートル位の距離、セグナは、走りながら右手の甲の付け根の所から左手で糸を引き出し、魔導を発動させ戦闘態勢に入る。
 ケンタウロスは、ドワーフゴブリンの斧で止められた斧に力を入れ、自前の怪力で持ち上げ、ドワーフゴブリンごと投げ飛ばした。
 体勢が不安定のまま投げ飛ばされたドワーフゴブリンは、空中で自分の斧を軸に縦に一回転し、綺麗に地面へ着地する。
 ケンタウロスは、もうセグナを追おうとする様子が無く、眼の前のドワーフゴブリンを凝視する。
 それは、ケンタウロスにとって、眼の前に立ちはだかるドワーフゴブリンは、もはや、無視出来る存在では無い事を意味している。
 ドワーフゴブリンも最初から、そう、セグナによって出現させられた時からケンタウロスを敵視して殺気を放っていたのだった。
 斧を右の脇に構え、態勢を低く構えるケンタウロス。
 それに応じて、ドワーフゴブリンの方も斧を横にして、両手で確りと支え、迎え撃つ態勢を構える。
 セグナは、リシェットが、自分の攻撃可能な距離に入ったと判断すると、真っ直ぐリシェットへ向かって走るのを止め、右へ方向転換し、ある一定の距離を保ちながら、リシェットの周りを回り始めた。
「それは、鬼ごっこのつもりかしら?その距離からの攻撃は難しくてよ!」
 リシェットはあくまで余裕のある表情を浮かべセグナに対して言葉を発した。
「………」
 そんなリシェットの言葉も無視するかの様に無言を突き通すセグナ。
 リシェットの周りを180度回った所で、早々に、真っ直ぐリシェットの方向へ切り込んだセグナだった。
 ドワーフゴブリンは微動だにせずケンタウロスを待ち構えている。
 ケンタウロスが低い態勢から開放し、ドワーフゴブリンへ突進した。
 ケンタウロスからドワーフゴブリンへの攻撃と、セグナからリシェットへの攻撃は、ほぼ同時のタイミングで衝突を始めた。
 ガァンッ!ズザッザァーー!
 ドワーフゴブリンは、ケンタウロスの全体重を掛けた激しい突進をケンタウロスの斧ごと受け止めてたのだが、体重を掛けた突進の為、ケンタウロスの重量分が慣性の働きによって、ドワーフゴブリンに重く圧し掛かって来たのだった。
 ドワーフゴブリンは、受け止めた体勢のまま後方へ押され、15メートルほど地面を引きずった。
 唯の突進ではあったが、物凄い力を発揮して見せたケンタウロス。その凄さを例えるのならば、普通の人間がそれなりにスピードが出ている大型のトラックを受け止る様な物である。
 かなり後方に引きずられたものの、それを受け止めたドワーフゴブリンもまた只者では無かった。
 右腕から糸を引っ張り出し、リシェットに攻撃を仕掛けたセグナは、引っ張り出した糸で、円盤状の輪を作り、それをリシェットへ投げる。
「爆破の威力をくらいなぁ!」
 糸を円盤状にしたそれを投げ、セグナは言う。
 リシェットの不適な笑みは消えない。
 リシェットは、既に右手人差し指で空中に文字を描き終わっていて、空中に描かれた文字は、そのまま地面へ落ちる。
 落ちた文字は地面に吸い込まれる様に消えたが、それは一瞬の事で、辺りの地面から上に向かって緑色のツルの様な物が急速に伸び始めたのだった。
 リシェットによって、引き出された緑色のツルは、あっという間にセグナからリシェットの姿が確認出来ない位まで高く成長し、それは、まるでリシェットを守る壁の様に伸びる。
 そのツルの所々に綺麗な白い花が咲き始めた。  
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (15)
- 2006/09/05(Tue) -
 ドワーフゴブリンは、セグナの合図に少し顔を縦に振って答える。そして、ケンタウロスの方向へ振り向いて構えを取った。
「じゃ、俺はエルフの召喚魔術士様と一対一の勝負と行きますかぁ」
 セグナは、その場をドワーフゴブリンに任せて、リシェットの立っている方へ走り出した。
 急に方向変え自分の方へ向かって来るセグナに気づいたリシェット。
「………私の方へ向かって来るわね。ひょっとして、私が召喚以外何も出来ないと思って弱点を衝きに来たと言う所かしら?」
 と、リシェットは眼を瞑って首を軽く左右に振り、心外そうな面持ち。
 セグナは、リシェットを自分の攻撃範囲内に入れる為、近づこうと走り続けていると、セグナの頭上を後方から何かが通り過ぎる。
 それは、セグナの視界にも入った。
 セグナを飛び越え、セグナの前で立ちはだかるのは、ケンタウロスだった。
 下半身は馬の為、走る事には関しては得意と言える。
「………」
 だが、セグナは、無言で足を止めずに走る。ケンタウロスにそのまま突っ込む形となった。
 斧を肩の後ろに回し、精一杯の力でセグナを振り払おうと、構えるケンタウロス。
「フン!」
 ケンタウロスは、持ち得る力をすべて斧に託す様に、セグナへ強く斧を振った。
 ブォン。
 大きい斧が風を切る轟音を鳴らす。
 その刹那にセグナは、走りながらも体勢を低くする。
 すると、後方からやって来たドワーフゴブリンが、セグナの背中を踏み台にして、ケンタウロス目掛けてジャンプする。
 そして、空中で自前の斧を背中から前へ大きく振り下ろした。
 ガキィーン!!
 斧と斧がお互いにぶつかり合ってその振動が辺りに伝わる。
 ケンタウロスの横へ薙ぎ払う攻撃をドワーフゴブリンが、薪を割る様に斧を縦に振って、それを阻止したのだった。
「俺の相棒を、あまりなめるなよ!」
 セグナは、ケンタウロスに対してセリフを吐き捨てると、ケンタウロスの横をすり抜けて、何事も無かったかの様に走り続ける。
 ケンタウロスとドワーフゴブリンは、お互いに睨み合い、緊迫した空気が漂う。
「クリーチャーのくせに、私の召喚獣と渡り合えるなんて、少々驚きね。思った以上に楽しめそうだわ。フフフッ!!」
 リシェットは、自らの緑白い魔導を右手に集中させながら、笑う。
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (14)
- 2006/09/04(Mon) -

振り向いた先には、大きな物が横から薙ぎ払っている姿が映る。
「クソッッ……!?」
 セグナは、既の所で体を捻って自ら地面に倒れ込む事により、何とかそれを回避する事が出来た。
 仰向けの状態で倒れたセグナの視界には、相手の足と思われる黒い影が、顔の直ぐ側まで迫る。
 即座に仰向けの体勢のまま横へ転がり、顔が潰される前にそれも回避。
「危ねぇなぁ。コノヤロウ!」
 無意識の内に相手へ罵声を浴びせるセグナだったが、自分を踏み潰そうとした相手の足がセグナの視界に入る。
「あ?ひづめ……?」
 つい、セグナの口からそんな言葉が漏れた。
 セグナを襲った相手は、上半身は人間ので、下半身は馬と言う格好をしている奇怪な姿だった。
 改めて相手の姿を視線で上下させながら観察するセグナは、そんな特徴的とも言える相手の姿を見て、それが何者なのか直ぐに理解する。
「………深林の番人。〝ケンタウロス〟か!噂には聞いていたが、本当に存在していたとはなぁ。ビックリだぜおい!」
 物珍しさに言うセグナだった。
 セグナの発した通り、セグナと対峙している相手は、ケンタウロスと言う半人半獣の怪物。
 ケンタウロスは、四種半人半獣の中でもっとも有名な怪物で、太古の昔から深い森の中で生息されていると言う話だが、現代に至っても誰もその姿を見た者がおらず、空想的な生き物として人々から認識されていた。
 ブォン。
 ケンタウロスは、自分の武器である斧を持ち直し構える。
 斧は、刃の部分が大きく扇の形を象っていて、柄の部分は長くなっている為、攻撃範囲は広い。
 そんな相手の武器を見て、最初の薙ぎ払い攻撃を受けてしまっていたらと考えるセグナはゾッとしている。
「仕方ねぇ。俺はあまり人任せは好かねぇが、クリーチャー(魔導の実体化)を使わせてもらうぜ!」
 セグナはそう言うと、右腕から魔導を発動させ、地面を強く殴った。
 ドン!
 すると、殴った地面から強く赤白い光が辺り一面に広がる。そして広がった赤白い光の中から、人の形をしたシルエットが浮かび上がる。
 赤白い光の中から出てきた者は、ケンタウロスと同じく斧を武器として持っていて、鎧らしき物も装備している。だが、体格はあまり大きくは無く、背はセグナの半分程度。
 それは、小人と言う名に相応しいが、腕や足などは、無駄の無い筋肉で覆われていた。
「久々だぜ。〝ドワーフゴブリン〟を使うのはなぁ。おい、奴を頼むぜ!」
 セグナは、ドワーフゴブリンの肩を軽く叩いて合図をする。
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[Necro Boy] 自然共存を求む者 (13)
- 2006/09/02(Sat) -

リシェットは、セグナの行動を眼で追い、また空中に文字を描き始める。そしてその描かれた文字はリシェットの周りを回り出す。
「さぁ。その〝スパイク〟を、貴方は、どう対処するのかしら?」
 セグナは、魔導を手に持っている糸に再び魔導を通す。
「………」
 セグナは、走りながらも時々後方を振り返り、スパイクと言う生き物の方向へ眼をやる。
 スパイクは、見た眼とは異なって、セグナの走りを追って行ける位の俊敏な動きを見せている。
 それを確認したセグナは、突然走るのを止めてピタリとその場に立つ。
 スパイクは走るのを止めたセグナ目掛けて跳び掛かる。
 すると、セグナは、タイミングを見計らった様に、跳び掛かって来たスパイクに合わせて高くジャンプして後方へ体を回転させながら着地しする。
 スパイクは跳び掛かった勢いで、自らの消化液を跳ばしたが、セグナが狙いの的から外れ空振りしそのまま地面に着地。
 スパイクの背後を取ったセグナは、すかさずスパイクへ糸を投げた。
 セグナの放った糸は予め網目状になっており、スパイクの頭上へ大きく広がった。
 標的を失ったスパイクは、辺りを探す様にグルグルと回るが、セグナの放った網状の糸がスパイクを包み込んで捕らえた。
「やっと捕まえる事が出来たぜ。散々、俺を追い回しやがって、このナメ公!」
 スパイクに対して吐き捨てる様に言うと、改めて、魔導を発動させて糸に送り込む。
 細かく編まれた糸はセグナの魔導によって、赤白く光り、スパイクを逃がす事無く確実に締め付ける。
 糸に強く締め付けられたスパイクは、さっきと同様に狂い悶え始めた。
 セグナは、拳を握り締めて更に強くスパイクを締め付け、暴れるスパイクの動きをも封じる。
 糸の締め付けも限界に差掛ろうとした時、スパイクは黄緑色の液体を染み出し始め、その液体が弾け飛んだ。
 弾け飛んだ液体は、空中へと舞う。
「フッ。やっぱりな。俺は、これを待っていた」
 セグナは、そう呟くと、スパイクを締め付けていた網状の糸を緩め、魔導の力で地引網の様に辺の地面へ広げた。
 弾き飛んだ黄緑色の液体は、地面へ落ちて行く。
「大人しく、火葬されてくれ。ナメ公」
 右手の指をパチッ、と鳴らすセグナ。セグナの合図と共に、網状になった糸が一瞬にして竜巻の様に上へと激しく燃え上がる。
 黄緑色の液体は、セグナの放った激しい炎の中で、跡形も無く蒸発した。
「へぇ~。スパイクの弱点を見切るなんてね。野生の勘って物かしら。フフフ。でも、アレに気づいて無くてよ」
 セグナの行動に口では賞賛するが、不適な笑みを零すリシェット。
 リシェットの周りを回っていた文字は、いつの間にか消えていた。
「予想通り、ナメ公の弱点は、液体状になった時だっ………!?」
 呟いていたセグナだったが、横から来る異様な風圧を感じて、その方向へ振り向いた。
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