スポンサーサイト
- --/--/--(--) -
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (42)
- 2006/11/30(Thu) -

「なっ………!?」
 たった今起きた現状を掴めず、眼を広げ険しい顔のまま、絶句、唖然とするリシェット。
 ゲルドリックの発した言葉と同時に、ソードスパイダーの右の前足が付け根ごと、宙に吹っ飛び、加えて、腹部の辺りを横からえぐった様に貫通した穴が開いて、血を撒き散らす。
 ゲルドリックは、言葉を発しただけで、直接ソードスパイダーには、指一本触れてはいない。
 リシェットも、それは目の前で確認している。だからこそ、唖然とせざる終えないのだ。
 ゲルドリックの体を覆う靄は、一時こそ、黒く覆っていたが、それも、空気と交わる様に、段々と薄くなり消えて行く。
「ギリギリだった。だが、〝順道無き転換〟は、成功した様だな」
 今まで、九死に一生得た状態で、吐血交じりの為、満足に言葉を発する事も出来ないはずだったゲルドリックが、普段の冷静さを感じさせる物腰で、その場に平然と、立っていた。
 ゲルドリックの体に覆っていた黒い靄が完全に晴れると、ゲルドリックの平然としている理由が、リシェットも眼の当たりにして、理解した。
 ソードスパイダーの鋭い前足で、ゲルドリックの右肩と、腹は、串刺しにされ、貫通していた致命的な怪我は、何所にも確認できず、元々怪我を負っていなかったと思う程である。
「何故だッ!何故まともな体で存在しているッ!?」
 手を強く握り締め、疑問と、怒りが篭った態度で、言葉を発するリシェット。
「先程、保険を掛けたと言ったはずだ。リシェット。俺は、その大蜘蛛と接近戦に入る前に、魔導でそいつの体と俺の体の神経から感覚までの領域を、同調させたのだ。そこまでの下準備が済めば、例え、外的なダメージを受けたとしても、後はこちらの都合で、いつでも同調させた相手へ転換出来ると言う訳だ」
 表情を変えずに起きた事を語るゲルドリック。
「余りにも容易いから疑いの要素は、あったけど……、そう言う事。やっぱり、パーン一族の人間は、食えないわねッ!」
 リシェットは、ゲルドリックを鋭く殺気を放ってはいるが、納得の表情を浮かべる。
「だが、一つ、誤算が生じた。それは、お前がシャーマンだったと言う事だ。シャーマンであるお前に、もし俺が、串刺し状態にあったあの時、その大蜘蛛に放った〝不敬の流沙〟の方でなく〝順道無き転換〟を解呪されていたら、今、俺はこうして生きてはいなかっただろう。そう言う意味では、危なかった。しかし、幸いな事に、お前はそれに気付いていなかった」
 わざと、ソードスパイダーに串刺しにされた訳ではないが、保険と銘打って、〝順道無き転換〟と言う術を計算して、予めソードスパイダーへ掛けたが、リシェットがシャーマンだった事を正直に、予想していなかった事を語るゲルドリック。
「いいえ、気付いていたわよ。私が、ソードスパイダーを止めた時の物でしょ。だけど、どう出るか分からないパンドラの箱を自ら開ける気にはなれなかっただけの話」
 リシェットは、ゲルドリックの魔導によって、その場に崩れたソードスパイダーを見る。
 ソードスパイダーは、その体勢のまま、既に、息絶えていたのだ。その様子を確認したリシェットは、また、何かを小さく呟く。
「死んだものは、生き返らない。よって、治癒は、叶わないけど、せめて、安らかに………」
 リシェットは、そう言うと、緑白く光る右の掌をソードスパイダーの体に当てる。
 そして、リシェットの手に当てられた、ソードスパイダーの体は、段々と透けて行き、この世から姿を消した。だが、小さい粒の様な光だけは、その場に残り辺りを彷徨う様にして浮遊していた。
 しかし、それも、リシェットの周りを暫く回っていると、自然に消えていった。
「エルフの魔導使いの上、シャーマンの力まで、身に付けていたとは…、俺とそう変らない歳でありながら、魔導の鍛錬と平行して、シャーマンの知識や力を身に着けるなど、不可能に等しい。一体お前はどんな……」
「お前ら、パーン一族への復讐の執念一つで、何でも可能な限り、どんなに辛くても身に着けてきわ。皮肉だけど、短期間でここまでの力を得られた事を、彼方達には、感謝するわ。でも、それも今日で終わり。そう…、今日で、今までのすべてを終わらすわ。彼方の死をもって……!」
 ゲルドリックが言い終わらない内に、強い口調で掻き消す。そして、リシェットの口から出る言葉は、全く変らない。
 ゲルドリックは、眼を細め、改めてリシェットから放たれる、殺気を真っ向から受け止める。
 その時、ゲルドリックの右手の甲から、灰色の文字が浮かび上がる。
 その文字は、ケルベロスの背中から、浮かび上がった文字と全く一緒の物だった。
スポンサーサイト
この記事のURL | 自作小説 | CM(8) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (41)
- 2006/11/26(Sun) -

「ヴゥアアァァ~~~~~~ッ!!!」
 ソードスパイダーから身を引き抜くと、そのまま地面へ落ち、吐血混じりで再び悲痛の叫びを上げ、蹲った。
 ゲルドリックの腹から流れ出る出血量は酷く、あっという間にその地面一帯は、血に染まる。
 ゲルドリックが、悲痛で苦しんでいるのを余所に、リシェットは、瞑想に耽っているかの様に眼を瞑り、顔を被う形で、右手の人差し指を額に当て、微かに口だけを動かしている。
 だが、リシェットが小さく口走る言葉に共鳴する様に、体に表れた模様が、光を放つ。
「―――イルバァ・セイッシュ(解呪)―――!」
 リシェットは、額に当てていた右手をソードスパイダーに触れ、そしてまた、エルフの古語であろう言葉を言い切る最後は強めに言い放つ。
 ソードスパイダーに触れた、リシェットの手先から、緑白くリシェットからソードスパイダーへと筋の延びた物が送られる。
 即死に近い状態のゲルドリック。自分の意志で動く事すら出来ないはずだが、貫かれた腹を押さえ、その場に立ち上がろうとしていた。
 確実に死んでいても可笑しくないゲルドリックは、中腰ながら、しっかりと体勢を保っている。
 彼は、リシェットの姿が変った後から、何か、必死に急っている様子にも受け取れる。
 それは、自分自身の怪我とは別に、リシェットがシャーマンだった事実に対してだろうか。或いは、シャーマンへと変貌を遂げたリシェットへの警戒心からだろうか。
 襲い掛かる痛みに耐え、顔を歪めている彼の心中は読み取れない。
 どちらにせよ、今のゲルドリックは、何か目的がある様に、体を起こす事に集中していた。
 リシェットから流れる緑白い物が、ソードスパイダーの全身へと行き渡る頃、ゲルドリックの魔導によって、黒い砂で固められたソードスパイダーの体に変化が現れる。
 ソードスパイダーの体の中から、緑白く、神々しく光る光が、ソードスパイダーの体を固めている砂を破り、丁度、卵の殻から雛が孵化しようとしている様子に似た光景である。
 堅く固まった砂は、亀裂を入れて、次々と崩れて行く。
 そして、暫くしない内に、息を吹き返したかの如く、ソードスパイダーは、動き始めた。
「どうやら、干乾び切る前に、間に合ったみたいね。さッ、再開よ。今なら奴は、虫の息も同然。何も出来ないわ!」
 リシェットは、そう言うと、ソードスパイダーに発破を掛ける様にして、合図をした。
 それに、奮い立たせられたのか、ソードスパイダーは、直ぐ眼の前に、立っている事がやっとの状態のゲルドリックに攻撃を仕掛ける。
「……不穏の…旋律よ…対象となる…者に……今…開放せよ……」
 ゲルドリックの放った言葉だった。そして、その言葉は、低く、そして重く綴られた。

20061126013343.jpg


 そして次に、ゲルドリックの放った言葉は、辺りを一瞬にして、不吉な空気に変え、その言葉が、山彦であるかの様に、響き轟く―――
 言葉を言い放ったゲルドリックの体から、ソードスパイダーに受けた所を中心に、黒い靄が立ち込み、包まれる。
 ソードスパイダーは、ゲルドリックを完全に仕留める為、勢い良く、自慢の前足を下から振り上げた。
 バンッ!!
 宙に舞ったのは、ゲルドリックの体ではなく、ソードスパイダーの前足だった。
この記事のURL | 自作小説 | CM(12) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (40)
- 2006/11/23(Thu) -

リシェットは、ソードスパイダーに近付き、何が起きたのか、眼で確認する。
 そして、ソードスパイダーの表面に触れたリシェットは、ザラッとした、本来ではありえない程の異様な質感を指で擦りながら調べる。
「こ、この黒い砂は……!」
 この時、ゲルドリックの放った、黒い砂の作用を瞬時に推測し、理解した。
 ゲルドリックの放った、この黒い砂は、砂の一粒一粒が、乾いている為、水分を求めて集まると言った特殊な習性を持っている。
 しかし、砂自体は当然、生き物ではないが、まるで、砂自身が意思を持つ様に、水分のある所へ集まる事から、砂丘の様な地形が多い、とある国では、死者の呪いを纏いし砂として、人々から忌み嫌われている。
 その砂を、ゲルドリックの黒魔導で操った物が、〝堕とされし不敬の流沙〟の正体である。
 ソードスパイダーは今、体に付着した、その黒い砂によって、体の中の水分を奪われてしまっていた。
「ウッ!クッ……」
 ゲルドリックのは、自分の体に、かなり深くまで刺さったソードスパイダーの前足を左手一本で支え、少しずつずらして行く。だが当然、壮絶な痛みが伴う。
 それにも関わらず、ゲルドリックは、止めようとはせず只管に己の身を、ソードスパイダーの前足から引き抜いている。
 ソードスパイダーは、一向に動く気配は無い。だが、リシェットは、ソードスパイダーに触れた時、若干の体温を感じ取り、死んでいる訳ではない事を悟ると直ぐに、右手を握り締めて、自分の胸に手を当てた。

「―――ドゥサッツブル・ムァ・エィノローグゥヴ―――!」

 リシェットは、木に触れた時と同様に、瞼を閉じ、エルフの古語らしき言葉を呟いた。
 すると、リシェットの左肩にある、紋章の様な物が、緑白く強く光り出した。
 リシェットの肩に光るそれは、瞬く間にリシェットの体に模様を象ってゆく。
 ゲルドリックは、苦し紛れに、己の身を引き抜いていると、リシェット様子が眼に入った。
「!!」
 苦しみで、顔こそ歪めているが、リシェットに起こっている現象を知っているのか、明らかに驚いた表情を見せる。
 ゲルドリックは、強引にも、腹と同じく突き刺さった右肩を先に引き抜いた。
「あぁぁ~~ッッ……!」
 人間とは思えない声と息を荒げながら、尚も、引き抜いて行く。
 いつの間にか、リシェットは、額から足の先まで、緑白く光った模様を纏った姿を露にしていた。
「ソードスパイダーを干乾びさせ様とは、やってくれたわね。ゲルドリック!……でも、その表情から察すると、私が〝シャーマン〟だった事が、予想外って感じね」
 リシェットは、そう言うと、小さく何かを呟き始めた。
 ゲルドリックは、急ぐかの如く、激痛にも構わずソードスパイダーの前足を足で強く蹴り飛ばし、その身を一気に引き抜いた。
この記事のURL | 自作小説 | CM(11) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (39)
- 2006/11/20(Mon) -

「ヴウァァッッ~~~!!」
 ゲルドリックは、痛みに苦しむが、無常にも、そのままソードスパイダーに持ち上げられる。
「フフフフッ、良いザマねッ!お前達一族に対する執念で、魔導の力を身に付けたけど、いざ戦ってみると、呆気無いものだわ、ゲルドリック!」
 ソードスパイダーに、高く持ち上げられて、だらりと力の入らないゲルドリックを、清々しい表情で見上げるリシェット。
「ガハッ……、リ…シェッ…ト……」
 血を吐き出し、満足に言葉を発する事の出来ないゲルドリック。
「何?……命乞いかしら?もし、そうなら、それは、不可能な話よ」
 ゲルドリックの苦痛に歪む顔を真っ直ぐに見て言う。
「エル…フ達…は、こんな…形での……解…決を、望ん…でいないはずだ……。そし…て、お前は…既…に、己の…憎し身自……体に囚われてしまっ…ている………」
 苦痛に、耐えながらも、途切れ途切れの必死な訴えをする、ゲルドリック。
「………何が言いたい?人の心配をしている場合では無いはずよ?」
 リシェットは、ゲルドリックの言葉を遮るが、ゲルドリックは、続ける。
「だ…から、出来…れば……、その……しが…らみから、解い…て、お前…を助け…た…い…ヴァハッ………」
 それを聞いたリシェットは、突然、力を入れて発した。
「黙れッ!原因を作った、お前らが、それを言うなぁッ!」
 リシェットは、ハッキリした殺意の眼をゲルドリックにやる。




「リシェッ……ト………」
 ゲルドリックの右肩と腹は、ソードスパイダーの鋭い前足によって、貫通して、尚且つ、持ち上げられている。
 少しでも動けば、ソードスパイダーの尖った前足に、自分自身の重みによって、貫かれて行く状況にある為に、力を入れる事が困難であり、喋る度に激痛が襲って来ている。
「お前ら一族を倒す事だけを考えて、今まで、死に物狂いで魔導の鍛錬を積んで来たのよ。当然、黒魔導の第一人者であるパーン一族のお前を倒すのに、覚悟をしていたけど………、こうして、早々と決着が着くなんて、実際は、呆気無い物ね。正直、拍子抜けしてしまったわ。フフフッ!」
 リシェットは、ゲルドリックに対しての見込み違いに、突然と、笑い出す。
「ま…だ…完全に……決…着は、着いてい…な…いぞ……!」
 ゲルドリックは、吐血しながら、リシェットに対して、言う。
「もう良いわ!良い加減、楽にさせて上げないとね。ソードスパイダー!止めを刺しなさいッ!」
 リシェットは、強い口調で、ソードスパイダーに指示を出した。
 しかし、ソードスパイダーは、リシェットの指示にも関わらず、全く、動く気配が無かった。
「ソードスパイダー!何をしている?早くそいつに止めを刺しなさいッ!」
 リシェットは、改めて指示するが、反応が無い状態だった。
 そして、ハッ、と気付いた様にゲルドリックの方向へ振り向くと、ソードスパイダーが、ゲルドリックへの攻撃を仕掛ける前に、ゲルドリックが、ソードスパイダーに対して、何らかの術を掛けた事が、頭を過った。
「ゲルドリックッ!お前、ソードスパイダーに何をしたッ!?」
 リシェットのは、再び、殺意の眼で、ゲルドリックを見た。
「フッ…その…質問は、2回……目だな………」
 瀕死の状態ではあるが、微かにニヤけるゲルドリックだった。
この記事のURL | 自作小説 | CM(11) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (38)
- 2006/11/17(Fri) -
ケンタウロスが、ケルベロスの圧倒される様に、構えは崩さず、少し後退りする。
 確かに、ケンタウロスは、恐怖と言うものを、全身で感じ取っているが、けして、恐怖に怯えている訳ではない。
 ケンタウロスは、何百、いや、何千と言った数の戦いを潜り抜けていている。そこまで戦いを熟知していると、自然と研ぎ澄まされた思考の方が、戦いの様子や結果を前もって描いてしまうし、計算してしまうのだ。
 だが彼は、その思考で、今のケルベロスとの戦いを、あらゆる方法や方向で、計算するが、弾き出される結果はどれも同一のもの。
 どうしても、ケンタウロス自身が、ケルベロスに噛み殺されているイメージに行き着く。出来るだけ距離を取る事がだけが、有効と言えるだろう。
 ケルベロスは、依然、周囲に波動を放つ程の物凄いオーラと共に、殺気を放っている。
 ケルベロスの放つオーラは、ケルベロスの口から放たれる黒い霧の様な物を巻き込んで、段々と黒い物を放ち始める。
 丁度、ケルベロスにダメージを受けた背中の辺りから、灰色の文字らしきものが浮かび上がり、ピキッ!と乾いた音を立て、その文字に亀裂が入った。
 やがて、ケルベロスの周囲に漂う黒い霧と浮かび上がる亀裂の入った文字が、擦れ合い反発した形で、接触する。
 ケンタウロスは、全身に力を入れ、必死で震えを制御し、ケルベロスの身に起きている一部始終を直視して思考を廻らせながら、一つの閃きを浮かべた。
 ケルベロスのオーラは、今も、ケンタウロスに対して、絶望的なまでのイメージを湧かせているが、ケルベロス本体は、意思を持っているのか、或いは、いないのか、分からない常態にある。
 そして、ケルベロスの背中から、浮かび上がり、亀裂の入った文字は、ケルベロスの何かを抑え付けている様に見える。
 もしそうなら、今のケルベロス自体は、何かに取り憑かれていると考えた方が、自然であった。又、可能性が高い。
 ならば、亀裂の入った文字が、破壊される前に仕留めなければならない。ケンタウロスは、そう考えた。
 ケンタウロスは、即座に、低い体勢になり、ケルベロスへと駆け出した。
 ゲルドリックの放った魔導により、空から散りばめられた、沢山の黒い砂は、ソードスパイダーの体へと、止む事無く付いて行く。
 だが、ゲルドリックは、何の目的でソードスパイダーに、砂を撒いたのか理由は不明である。
 今の所ソードスパイダーには、その効果らしきものはハッキリ現れるわけも無く、だからと言って、抵抗がある様な様子も無く、そのまま、ゲルドリックへ近付き、攻撃を仕掛けた。
 ソードスパイダーは、上空で放たれた時の物と同じ、口から針を作り出し、それを、至近距離から、ゲルドリックへと、放つ。
 幾ら、至近距離からとは言え、ゲルドリックはそれを軽くかわす。が、次の瞬間には、ソードスパイダーの鋭く尖った、前足がゲルドリックの視界に入る。
 それを今度は、後退してかわすが、直ぐに、ソードスパイダーのもう片方の前足がゲルドリックを捉えようとしている。
 ソードスパイダーの速い連続攻撃は、ゲルドリックの優れた洞察力を持ってしても、その対応が、限界に差し掛かっていた。
 ゲルドリックは、完全にソードスパイダーの間合いの中。後退して回避するには、遅過ぎて、前足の攻撃を的もに受けてしまうと悟ったゲルドリックは、逆に、ソードスパイダーの懐へとしゃがみ、入り込んで、その攻撃をかわす。
 そして、右手の魔導を、ソードスパイダーの腹辺りへ当て、黒炎を放ったが、直後、腰の辺りに激しい激痛を感じたゲルドリック。
「クッ……!」
 ソードスパイダーの最初の猛攻をかわした時、腰を捻ってしまった事を瞬時に理解したが、ゲルドリックは、その激痛で、腰に力が入らず倒れた。
 ゲルドリックの放った黒炎は、発動したが、十分な魔導供給が行えず、結果的に不発に終わる。
 ドスッ!ドスッッ!
 ソードスパイダーは、ゲルドリックの右肩と腹に、前足を突き刺した。
この記事のURL | 自作小説 | CM(8) | TB(0) | ▲ top
激闘・デスマッチ(前編)
- 2006/11/14(Tue) -
先ず、始めに……

[Necro Boy]のイメージ壊したくないなぁ~と思われる方は、お読みにならない事をお薦め致します!

そして、この内容は、[Necro Boy]本編とは、一切関係御座いません(笑)

Kikurage
この記事のURL | 自作小説 | CM(10) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (37)
- 2006/11/11(Sat) -


              +

 ケンタウロスの力余る程の強力から放たれた攻撃により、破壊された壁の砕けた大きな破片を背中から脇腹に掛けて受けたケルベロス。
 その衝撃でバランスを崩し、大きく前へ転がり込んだ。
 結果的に、ケンタウロスの予想した通り、ケルベロスは、壁と言う障害物を寸での所で横にかわした。
 ケンタウロスの壁への攻撃は、二つの理由がある。
 1つは、どうしても斧では、その巨大で重量のある武器では、攻撃の手法が限られてしまうと言う事にある。
 振り下ろし、払い上げ、横薙ぎ、そして突き。いずれの攻撃も、最後まで振り切ってから次の攻撃へと転じるしかない。
 斧その物に重量があるが故に、剣の様な技の途中で新たな技へと変えると言った切り替えしが、そもそも不可能であり、その単純さが、見切られてしまう最も大きな原因である。
 そこであえて、斧での直接攻撃を避け、壁へ攻撃を放ち、その衝撃を利用して関節的な攻撃を選択したのだった。
 ケルベロスが瞬時にそこまで予測する事は不可能で、尚且つ、衝撃により飛ばされた破片は、予想の出来ない無作為な軌道の為、ケルベロスは反応し切れなかったのだ。
 もう1つは、ケルベロス自身、ケンタウロスをギリギリまで引き付けた事により、ケンタウロスのスピードは勢いに乗ってしまった為、急には止まれなかった。
 それは、ケンタウロス自身に慣性の力が働いていた為で、その力を分散、或いは、吸収させなければならなかった。
 しかし、そのまま壁に激突するのは、既に深手を負っているケンタウロスにとっては、リスクの大きい物で、それは、絶対に避けなければならない事であった。
 そこで、ケンタウロスは、壁を破壊する事により、その動力と衝撃で、ケンタウロス自身に掛かっていた慣性をうまく分散させたのだ。
 ケルベロスは、再び立ち上がり、背中に伴う痛みに耐えるかの様に、ケンタウロスの方を唸りながら睨み付ける。
 ケンタウロスは、瓦礫と化し、積もった破片の中から、直ぐに斧を引き摺り出し、ケルベロスの方へ向き、斧の柄の先端を前へ垂直に構える。
 しかし、構えは取るものの、肩を揺らす程の大きく荒い息遣い。いくら怪力で豪腕の持ち主と言えど、ドワーフゴブリン、ケルベロスと連戦で戦っている。
 況して、胸の大きな傷から流れ出ている出血は、ケンタウロスの移動した所をなぞる様に、地面に流れ落ちた跡の夥しい程の量である。
 ケンタウロスは最早、自分が思っている以上に体力を奪われていた。ケンタウロスにとっては、早めに決着を着けたい所である。
 ウォォォォォォォ~~~~~!
 ケルベロスが突然、夜空へ向けて大きく遠吠えをする。
 それに対して、ケンタウロスは、斧を強く握り締め、警戒を張る。
 ケルベロスの遠吠えは、地響きは元より、ケルベロスを中心に何処からともなく空気が波動となり放たれる。
 唸りとは、比べ物にならない程の圧迫感が一気に立ち込めた。
 ケルベロスの眼は、いつの間にか、青く光り、口からは、黒い霧の様な物を漂わせている。
 そのケルベロスの光景を見るケンタウロスの体は、小さく小刻みに震えていた。
 ケルベロスが放つ、まるで、妖気とも言えるオーラを見て、脱力せざる終えない。
 何故なら、ケンタウロスが、眼の前の相手と自分との差を瞬時に把握してしまった為。いわゆる、長年の戦いの勘である。
 今まで、戦いの中で生きて来たケンタウロスが、初めて感じるであろう感覚。
 ―――それは、恐怖であった。
この記事のURL | 自作小説 | CM(10) | TB(0) | ▲ top
一日ぶりにこんばんはです(^0^)/
- 2006/11/10(Fri) -
この度、9日、10日と、一泊二日で、箱根へ旅行に行ってまいりました。

箱根への途中、富士五湖周りをしてまいりましたが、日本一の山、富士山がとても綺麗でした~。


PA0_0000.jpg


携帯での撮影でしたので、画像が荒いのですが、載せてみました。

箱根で一泊した後は、大湧谷と言う、温泉が湧き出している所へ寄って、温泉の硫黄の成分で、表面が黒くなった、温泉卵をかって帰りました。

お話は、変りまして、[Necro Boy]自然共存を求める者(37)は、明日UPさせて頂きますm(_ _)mペコリ

この記事のURL | 自作小説 | CM(7) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (36)
- 2006/11/07(Tue) -


             +

 学校の教科書、ルーズリーフのノート、そして、無造作な位置に置かれているマスコット付きの筆記具と消しゴムが、机一面に広げられている。
 教材を鞄から引っ張り出したは良いが、全部広げただけで、学校の宿題が手が付けられていない。
 机のライトを点けっぱなしにも拘らず、晴美は唯、ベッドへ身を任せる形で横になっていた。
 ゲルドリックを信じて見送った晴美。だが、信じて待つと言う事が、一人残された者にとって、不安と孤独との戦いであった。
 ゲルドリックの事を気にすれば、気にする程、それは、大きい物になる。
 その為、晴美の頭の中はその事で、いっぱいになっており、どうしてもほかの事に対して、注意が散漫になってしまうのだ。
 ゲルドリックを見送った後というもの、すべての事に、身が入らないのだった。
 横にはなっているものの、眼を開け、ボーっと、何処かを見詰める訳でも無く、放心さながらの状態である。
 晴美は、ゆっくりと窓の方に顔を向ける。
 窓ガラスは、外気の気温と、部屋のエアコンの暖房の影響で、曇っている。
 碌に、外の様子が見れない窓ガラスを唯、呆然と眺めるだけだった。
 そんな時、突然と晴美の聴き慣れたメロディーが、部屋に鳴り響く。
「………ん?あれ?メールだ!」
 晴美は、ベッドがら、ゆっくりと身を起こし、机の上に置いてある自分の携帯電話へと手を伸ばした。
 折り畳み式の携帯電話を開き、今、届いたばかりの着信メールを確認する。
 メールの送り主は、晴美の親友、椎凪潤子だった。
「潤子から…。何だろう?」
 そう言いながら、晴美は、メールの本文を開いて、それを眼で追う。
 その潤子からのメールの文章を読みながら、晴美は、奇怪な表情を浮かべる。
「え?何でそうなるの?」
 潤子からのメールの内容は、両親が、どこぞのパーティーにお呼ばれされて、家に居ない為、夕ご飯の用意がされていないから、晴美の家に食べに来ると言う物だった。
 晴美は、咄嗟に考える。潤子とは仲が良いが、ゲルドリックと一緒に同居している事、いや、ゲルドリックの存在を潤子がまだ知らないと言う事を………。
 もし、潤子にその事がばれたら、言い訳は元より、学校でネタにでもされたら、自分の立場が危うくなる。
 潤子を自分の家に迎え入れるのは、非常に危険と判断した晴美は、直ぐ、潤子の携帯に電話を掛ける事にした。
 トゥルルルル!トゥルルルル!
 暫くすると、コール音が止んで、電話が繋がる。
「……もしもし?」
「あっ、晴美ィ~~!メール見てくれた?」
 いつも、明るいテンションの潤子の声が晴美の耳に入って来る。
「あっ、うん!メールを見たから電話したんだよ!あのね潤子。本当に悪いんだけど、今日は、とてもそんな気分に……」
「却下ぁ~~!」
 晴美が用件を言い終わらない内に、潤子が間髪入れずに即答する。
「えっ!?」
 自分の言い分を、潤子に、あっさりと断られた事で、思考が追いついていない晴美。
「もう、遅いのだぁ!とっくに家を出たしね!」
「家を出たって…、もう!潤子は、いつも行き成りなんだからー」
「テヘリ!照れますよ、晴美さぁ~ん!」
「褒めてないし…」
「あのね、食材の心配は、しなくても大丈夫だよ!親が書置きと一緒に、お金を置いてってくれたから、それで何か適当に買う。だから、私が食材を持って晴美ちゃんの家に向うから、晴美ちゃんはその材料で、料理の方をお願いします!では又、後でぇ~」
「あっ、潤子!勝手に話を…」
 晴美は、必死に話そうとしたが、電話は既に切られた後。結局、晴美は、潤子の独特なペースに流されただけだった。
この記事のURL | 自作小説 | CM(13) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (35)
- 2006/11/05(Sun) -

リシェットの叫びに反応して、ゲルドリックから距離を取ろうと下がり始める。
 しかし、紫へと色を変えたゲルドリックの放った魔導は、ソードスパイダーの体へと物凄い勢いで、吸収される様に吸い込まれていった。
 ソードスパイダーの体は、微かに濃い紫色の魔導が取り巻いている。が、ソードスパイダー自身、特別、苦しく悶えるとか、何か異変が起きている訳でも無く、至って普通の状態だった。
「………、ゲルドリック、一体、何をした?」
 ゲルドリックは元より、ソードスパイダーにも警戒を張るリシェット。眉を顰め、ゲルドリックに問う。
「…なに、唯、保険を掛けさせてもらっただけだ」
 ゲルドリックは、表情を変えず、そう告げる。そして、右手の拳を握ると、紫色の魔導が蒸発する様に消えた。それは、ゲルドリックの術が完了した事を意味している。
「保険……?」
 リシェットは疑心な表情でゲルドリックを見据え、小さく小声で呟いく。
「……どうする。その大蜘蛛で掛かってくるのか、来ないのか。来ないのなら、直接お前と争うまでだ。リシェット!」
 ゲルドリックは、ハッキリした意志を伝えた。
 ゲルドリックの言葉に、暫く躊躇した素振りを見せたリシェットだったが、直ぐに、ゲルドリックへと、敵意の眼で見返す。
「フン!この私を陽動に駆らせつもりかしら?こざかしい。ソードスパイダー、奴をズタズタにしなさい!」
 リシェットはそう言うと、ソードスパイダーに合図を送る。
 ゲルドリックは、右手から魔導を引き出し、ソードスパイダーの方を向き、構える。
 ソードスパイダーは、動き出し、再びゲルドリックへと攻撃態勢に入った。
 ゲルドリックの右手の魔導は、渦を巻き始め、竜巻の様に上へと激しく広がって行く。
「今度は、こちらからも攻めさせてもらうぞ!」
 そう言うと、ゲルドリックは、ソードスパイダーに対して、魔導を放った。
 ゲルドリックの放った物。それは、セグナと交えた時にも放った事のある黒炎。
 黒炎は、燃えている様に見えるが、そうではなく、死人の憎悪や思念と言った、呪いそのものである。
 まともに受ければ、瞬く間に、その憎悪や思念によって押し潰されてしまう。それは、人間以外でもけして例外ではない。
 しかし、ソードスパイダーは、ゲルドリックの放った黒炎をまともに受ける程単純ではない。
 素早く危険察知をし、蜘蛛特有の機敏な動きで横へ飛び跳ね、難なく避け、何事も無かったかの様に、ゲルドリックへ迫る。
「………」
 ゲルドリックは、何も言わず、そのソードスパイダーの動きを見ていた。そして又、魔導を引き出して、今度は、ソードスパイダーの上空を目掛けて、魔導を放つ。
「堕とされし不敬の流沙(りゅうさ)……」
 ゲルドリックは、短く言葉を呟く。
 すると、ゲルドリックが放った魔導は、ソードスパイダーの上空を雨雲に似た、どんよりとした物が広がり、その淀んだ混沌の中から、光る物が細かくちらつかせる。
 そして、それは、風に舞いながら、ゲルドリックへ攻撃を仕掛けるソードスパイダーへと降り注ぐ。
 ソードスパイダーへ降り注がれる物は、細かい黒光りした砂。それも、砂漠の砂の様にさらさらとした乾いた砂がソードスパイダーの体に徐々に引っ付いて行く。
 まるで、砂が意志を持って、それを望んでいるかの様に―――。
この記事のURL | 自作小説 | CM(12) | TB(0) | ▲ top
バトンです!!
- 2006/11/03(Fri) -
kazu osinoさんから頂きました初バトンで、ドキドキしております!!


★このバトンは気になるあの人に回してこっそりあの人のことを知ってしまおうというバトンです★
★最初に知りたいあの人を教えてください☆☆☆何人でもどうぞ

失礼ながら、指名させて頂きます。
かんげつさん、ひづきまよさん、です!
あっ、強制ではないので、放棄OKです!はい。

★あなたのお名前は?

Kikurageと申しますm(_ _)mペコリ

★呼んで欲しい呼び名は?

Kikurageでも、きくらげでも、木耳でも構いません。お好きな呼び方でお願い致します!

★誕生日と星座と血液型は?

6月19日。双子座です!

★職業は?

ヒルズ族です(笑)

★休日の過ごし方は?

ドルビー5.1chサラウンドで、DVD鑑賞、庭先のガーデニング、時々PCをいじります。

★趣味は?

小説や資料集などを読む事です。結構、雑学が好きですので…

★いつものファッションスタイルは?

ノーコメントで、お願い致します☆

★髪の色は?

栗毛です♪

★好きな色は?

青系が、とても好きです。青と緑が混ざり合った、微妙な色合いのエメラルドグリーンは、特に気に入っております(^▽^)つ

★あなたの性格を一言で。

常にパロっております(笑)

★今欲しいものベスト5は?
1.32型、液晶テレビ
2.DVDレコーダー
3.デジタル一眼レフカメラ
4.癒し
5.以下同文


★好きな食べ物ベスト5は?
1.野菜全般(キャベツには、目が無いです)
2.モッツアレラチーズとスライストマトのサンド
3.カルボナーラ
4.ユーリンチ(若鶏のから揚げ甘酢掛け)
5.冬の恋人(北海道銘菓)

★好きなタイプを5つ教えて☆☆☆

内緒です☆

★嫌いなタイプを5つ教えて☆☆☆

言える立場にありません。

★将来の夢は?

店長スペシャル(Necro Boy)の完食♪

★今一番ハマっていることは?

ウォーキング&サイクリング♪

★近々始めたいことは?

途中下車、ぶらり旅

★よく見る番組は?

宮廷女官チャングムの誓い(笑)

★これだけは譲れない!っていうこだわりは?

コーヒーに砂糖は入れません!折角のコーヒーの味が分からなくなってしまうからです。

★今のあなたは子供の頃に夢見ていた大人になれていますか?

いえ、微妙にファール気味です。

★あなたのいちおしを教えてください。

PCをシャットダウンする前に、自分がシャットダウンします!

★得意料理ある?

ぶりてり、麻婆豆腐、パリパリ餃子、カレー、チャーハン!
沖縄料理では、らふてー(豚ばら肉の角煮)、クーブイリチィー(細切り昆布の和え物)

★地元ネタを一つお願いします。

近くに、西武インボイスドーム球場があります!

この記事のURL | 自作小説 | CM(5) | TB(0) | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (34)
- 2006/11/01(Wed) -

ソードスパイダーが、地面に刺した前足を引き抜き、倒れている、ゲルドリックへとゆっくりと近付く。
 ソードスパイダーの形状は、大きさを除いて、見た目は普通の蜘蛛とそう変らない形をしている。
 強いて言えば、毒蜘蛛で、有名なタランチュラに良く似ているのだが、異なる点が存在する。
 蜘蛛の生態は、共通して、身体が頭胸部と腹部に別れており、足が左右、計8本である。
 しかし、ソードスパイダーの場合、足が8本の内、前の2本だけが堅く鋭利な程に鋭く、表面は細かい刺状に発達している。これが、ソードスパイダーと言う名前の由来である。
 この2本の前足を使って、自分の餌とするターゲットを捕らえるのだ。
 その為、本来の蜘蛛の持つ糸は、使う事が無くなり退化したのである。その代わり、ソードスパイダーには、口から糸ではなく、ある特殊な液体を出す習性を持っている。
 その液体は、空気に触れると直ぐに堅く固まる。ソードスパイダーは、口でその液体を空気に触れさせながら、細く尖った物を形作り、標的に飛ばすのだ。
 ソードスパイダーの体内から作り出され、飛ばされた物が、ターゲット(主に、昆虫、ネズミ、カエル、ヘビ、場合によっては、小鳥なども)に刺さると、一度固まった物が体内で溶け出し、ターゲットを麻痺させる。
 ソードスパイダーの本来の大きさは、10センチから、15センチ程の大きさで、人間がそれに刺されても、痒くなり、赤く火脹れする程度で、死至る危険性は、ゼロに等しいのだが、リシェットの魔導で、人間以上に巨大化された事により、話が変ってくる。
 人間の身の丈以上の大きさのソードスパイダーから飛ばされる針に刺されたとしたら、おそらく、かなり危険である事は、まず間違いない。場合によっては、その針から溶け出す液体が、致死量に達っする可能性もあるだろう。
 ゲルドリックは、無理に腰を捻った影響で、腰からの痛みを伴っていながら、身を起こした。
 この程度で、休む訳には行かない。ソードスパイダーが、迫って来ているのだ。
「ソードスパイダー……、全く、恐ろしい位の動きだな」
 ゲルドリックは、片手で痛めた腰を押さえ、ソードスパイダーの前に立つ。
 ソードスパイダーは、眼の前のゲルドリックを捕らえ様と、口から予め作り出していた、例の針をゲルドリックに向けて、飛ばした。
 ゲルドリックは、まず、飛んでくる針を掴んだ。元々右手は、魔導を開放しており、針は、ゲルドリックの魔導によって一瞬で腐蝕する。
 ソードスパイダーは、続け様に、発達した鋭い前足で、ゲルドリックへの攻撃を開始した。
 ゲルドリックは、ソードスパイダーの連続した攻撃の動きを見て、かわして行く。そして、引き出した魔導の手を、自分の胸に当てた。
 すると、右手の部分から、黒いうねりのある帯が、ゲルドリックの胸部を巻き始めた。
 続けて、ソードスパイダーの絶えない攻撃を、少しずつ後退しながら、尚もかわして行く。
 ソードスパイダーも、的確な的を得ているが、ゲルドリックに、確りと見切られて、なかなか命中しない。
 それもその筈。ソードスパイダーの攻撃を1回でも受けてしまえば、それだけで、ゲルドリックにとって、致命的なのである。
 ゲルドリックは、持ち前の、研ぎ澄まされた洞察力をフルに駆使して、確実にかわしていたのだった。
 そして、ゲルドリックは、作業を終えたらしく、自分の胸に当てた手を離し、今度は、魔導を開放しているその右手を、ソードスパイダーへと向けた。
「不穏の旋律を持って、対象を我の同調となれ……!」
 ゲルドリックが言葉を言い終わると、右手の魔導が中に広がり、魔導の色が黒から濃い紫へと変る。
「ソードスパイダー!下がりなさいッ!!」
 咄嗟にゲルドリックの術の異変に気付いたリシェットが、物凄い剣幕でソードスパイダーに指示をだした。
「もう遅い!最早ソードスパイダーは、術中の中だ!」
 ゲルドリックは、リシェットに対して、そう叫んだ。
この記事のURL | 自作小説 | CM(9) | TB(0) | ▲ top
| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。