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[Necro Boy] 異端者到来
- 2006/06/09(Fri) -
            異端者到来(序章)


 二〇〇五年、夏が終わりを告げて、木々の葉がすっかり茜色に染まり独特の雅やかさを演出している。そんな陽気を受けながら、望河なる学校を、後にした。
 私は、笹倉晴美。2年で、ごく普通の学校の生活を満喫している。
 自分が通っている望河は共学で、レベル的にけして高くは無いが、周りに自然が多く過ごしやすい。私立なので、部活動がかなり盛んである。特に野球、バスケット、バレーボールに力を入れているらしい。
 時刻は、午後四時十分過ぎ。私は下校の最中で、あと十分程度で自宅に着く所である。
 そんな何時もと変わらない平凡な一時を酔い痴れながら歩いていると、近くで、微かに金属音の様な叫び声の様な音が確かに聞こえるのである。
 私は少しの間迷った。しかし、恐怖心より好奇心の方が強かった為か、その音のする方へ足を向けた。
 高層ビルの間を暫く歩いて抜けると、十五メートル位離れた所に、人が三人立ち並んでいた。正確に言うと、二人は並んでいて、一人だけ少し離れて立っている。
 二人組みの男達は何か構えた体勢で、片方の男が怒鳴った。
「生きている内に、ポータルを大人しく渡せ」
 一方、一人のは落ち着いた物腰で、静かな口調で話し始めた。
「お前等に渡して、俺に何の得が有る?そもそもこれは俺のだし渡す気も無い。分かったら失せろ!」
 二人組みの男達は、待ってましたと言わんばかりのタイミングで、その男に襲い掛かった。
 だが、その瞬間一人の男の右手から、薄黒い陽炎の様なもやが上がり、あっと言う間に二人組みの男を暗黒とも言うべき炎で包み込んだ。
 それを一部始終見ていた私は、目の前で起きた事が奇想天外過ぎて、パニックになってしまった。その為か、無意識の内に悲鳴染みた声まで上げてしまったのである。


Necro.jpg



 当然の如く一人の男は、私の方に振り向いた。
 私は逃げ出せる訳もなくその男の威圧的な存在感に圧倒されて、腰が抜けた状態で竦んでいた。
 ところが、私の方に向かって来る様子も無く、むしろ、見られていた事より自分が気付か無かった事の方が気に食わないと、言わんばかりの複雑な表情を浮かべ、チッ、と舌打ちを鳴らしながら足早に中を舞って、去って行った。                                             
 残された現場には、先程まで人であったであろう二体の死体が、蒸気を上げながら消えて行く。私は、その様を放心状態で暫く眺めていた。
 
                +

 私はやっと家に着く事が出来た。時計はもう直ぐ五時を回ろうとしていた。靴を脱ぎ、急いで自分の部屋は入り、精神的にかなり疲れがあった為か鞄もそっちのけで、真っ先にベットに倒れ込んだ。
 あの現場で、私が放心状態から解放されたのは三十分後の事。自分が何故放心状態だったのか忘れそうになりかけた時、我に返ったのである。
 ゆっくり立ち上がり、おぼつか無い足取りで、来た道を戻り何とか家に辿り着いた。
 正直言うと、あの現場を見てしまった事を今になって後悔している。
 それに、あの男がこのまま私を見過ごすだろうか?そんな不安が急に頭を過る。気が付くと、自分の体が小震いしながら蹲っていた。
 一時間経って、ベットから起き上がる。相変わらずあの男の事が頭から離れない。
 私服に着替えながらどうしょうか考えたが、結局、外に出る事に決めた。
 当然、あの現場に行く事にした。物凄い不安があるけども、あの場所で起きた事は不可解過ぎていたし、自分には関係無いと分かっていても、やっぱり気になるし、半ば、何も変わってないとも踏んでいた。そんな事を思いながら玄関を後にした。
 
                +

 再び現場に来たのは良いが、そこには例の男が居る訳でもなく、予想通り、何事も無かったかの様にただ静まり返っていた。あたりは変わったものは無く興味を懐く物がなかったので、退散する事にした。
 折角、外に出たので、気分転換のつもりで街を少し散歩をしてから帰る事にする。
 暫く商店街を歩いていると、突然背後から肩を叩かれた。
「えっ!?」
 私は硬直しながら振り返る。
「よっ!こんな所でなにやってるの?晴美が、こんな時間にうろつくなんて、珍しいじゃん」
 クラスメイトの潤子だった。
「どうしたの?顔、青ざめてる、けど……。具合でも悪いの?」
 よほど自分が変な顔をしていたのか、潤子は不思議そうに言った。
「ううん、大丈夫だから。気にしないで」
 気を使わせないようすぐさま切り替えした。
 潤子とは、入学して以来の親友である。私と違って、フレンドリーな性格のこの子は、学校で男女問わず人気者なのだ。
「な~んだ、良かった」
「良かった?良かったって何が良かったのよ、潤子」
「いやね、最近この辺の街一帯に幽霊だか、妖怪が出るって噂なのよ。晴美知らないの?学校じゃあ、この噂で持ちきりよ!私はね、てっきり晴美がその噂の幽霊を見て、強張ってたのかなぁって、思ってたのよ」
 その噂が何となく、さっきの出来事と結び付く様な気がした。
「潤子、その話、詳しく聞かせて」
 私の真剣な顔が潤子にとって、意外だったのか、少し躊躇した後話し始めた。
「あのね、私も実際に見た訳じゃ無くて、隣のクラスの友達から聞いた話なんだけど……、最近この街、周辺で飛び交う影がちらほら見えるようになったらしいの。大抵は、夜、頻繁に出現するみようで、この辺の商店街でも数人の目撃されてるって話よ。どうも、家の屋根とか、高い建物の屋上から出てきて、屋根から屋根へ飛び交ってるみたい。私の知ってる限りでは、この位かな。実は、私もあまり詳しく知らないのよ。御免ね」
 潤子は、噂話し程度しか知らないようだった。
「うん、有難う。潤子。学校で、そんな噂が流れてたんだ。私、全然知らなかった」
「晴美は、学校じゃ全然人と話そうとしないじゃない。もっと、交流深めた方が良いよ!」
「私、会話とか苦手だから」
「勿体無いなぁ~。そんな事じゃ、男できないぞ!晴美は、私が嫉妬する位可愛いのに」
 相変わらず潤子は、私の苦手な話題を態とらしく振って来る。それを愛想笑いと、適当に頷いて、何とか回避する。
「あっ!私、買い物の途中だったんだ。じゃ晴美、また明日ね。宿題写させてね。バイバイ」
「その位、自分でやんなさいよ。もう」
「イイジャン!イイジャン!」
 そう言いながら、シッシッっと、笑って潤子は人込みの中に消えて行った。

                +

 潤子と別れた後、そのまま家の方まで帰ってきた。携帯で時間を確認すると、もう直ぐ八時になろうとしていた。
 家に辿り着こうとした時、目を疑う光景を目のあたりにした。家の目の前に、黒いターバンを鼻まで深く被り、黒いマントを羽織った大きな男が立っていたのである。
「おい、女。やっと見つけたぞ!」
 男はやぶからぼうに話かけてきた。
「貴方は、誰ですか?」
 私は震えながら言った。大体の予想は付いていて、分かってはいたけど、言葉を返すので、精一杯だった。
「???」
 男は、不思議そうに首を傾げたが、暫く考えてから言葉を切り出した。
「ああ、そうか。俺は、元の姿をお前に見られたんだったな。本来、自分の姿を人に見せないんがな。正体がばれたら、そいつを始末しなければならない。タイミングが悪かったな、女!」
 男は、不敵な笑みを浮べて言い放った。
 悲鳴も上げられずに私は、その言葉に、絶句した。
「おい、―――女。何、固まってるんだ?冗談を真に受けたか?黙られると、こっちとしても困るんだがなぁ」
 そんな事を言いながら男は、肩を落とした。
「……冗談?」
 そう呟くと、何とも言い難い殺意に近い感情が、湧き上がってきた。私は、思いっきり息を吸い込んだ。
「そんな分かりづらい冗談を吐くなぁぁぁぁ~~~~~~~~~~!」
「ウヴェ~~!女、いきなり大声出すな。こ、鼓膜が……、破れるだろ」
「あんたが、変な脅し方するからでしょ。自業自得じゃない。大体、あんた何者なの?見るからに、野蛮そうなんだけど」
「俺か?俺は、ネクロマンサーだ」
「ね、くろ、まんさぁー?」
「そうだ。黒魔術だけに特化した、術者だ。不の力をエネルギーとしている」
「黒魔術?――――魔法使い。なの?」
 私は半信半疑で、目の前の男に会話を合わせた。
「どうやら世間では、そのように呼んでるらしい。かなりの飛躍と誤解が混在しているがな」
「で、そんな貴方が私に何の用があるの?」
「俺を、匿え!」
「はぁい?言っている意味がよく分からないんですけど」
「追っ手が近くまで来ている。身を隠す場所が必要だ。頼む」
 そんな事を言いながら、彼は、左脇腹を押さえて屈んでしまった。気が付くと、地面に血が、夥しく流れていた。
 とても、不可思議ではあるが、こうして彼は、私の前に現れた。


 
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コメント
-こ、これは!-
主人公が、ダークな感じで、カッコよすです。続き楽しみっす(o^-')b
2006/06/10 05:17  | URL | イソギントリオ #-[ 編集] |  ▲ top

-管理人のみ閲覧できます-
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2006/06/10 13:30  | | #[ 編集] |  ▲ top

-おはようございます☆-
まず、序章から・・・
これはまた、気になる展開で始まりましたね~!
晴美は意外と度胸がある?(笑)
私だったら、家の前でターバン&マント男が立ってたら会話もせずに警察行きますが^^(笑)
何とも謎めいた人物・・・
今後が楽しみです!
また読みにきますね☆ポチッ!
2007/01/06 08:37  | URL | chacha #-[ 編集] |  ▲ top

-コメントのお返しが、遅くなりまして、スミマセン。-
chachaさん

ご訪問頂きまして、有難う御座います(^0^)

晴美は、何か、気になる事が御座いますと、首を突っ込まずには居られない性格なのです。

自ら、普通には考えられない世界を体験する事ににりました。
晴美の前に現れた、ゲルドリックと言う謎の人物。
彼の素性と、目的とは!?
次回から、徐々に明かされて行きます。

ポチを頂きまして、有難う御座います(^▽^)つ
2007/01/08 03:59  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

--
主人公ゲルドリックさんは、なかなか謎めいた方ですね。
非日常の世界に突然巻き込まれた晴美さんが、これからどうなるのか今後の展開が気になる所ですね。
2007/02/10 17:50  | URL | 要 #-[ 編集] |  ▲ top

--
要さん

早速、異端者到来を読んでくれたのですね。
とても感激です!

普通の人間てある晴美。
そんな晴美からして、とても異端であるゲルドリックが突然晴美の前に現れて、物語は、進みます!

これからのお話を、期待して頂けますと幸いに思います★
2007/02/11 02:23  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

--
はじめましてー

つい最近、魔法使いの小説を書き始めました。

色々、ネットサーフしてたらここに来ました。

長いのでまだはじめのほうしか読んでませんw

またきます。
2007/03/01 10:45  | URL | えふぃ #Tf9aLMeg[ 編集] |  ▲ top

--
えふぃさん

始めまして、こんばんはです(^0^)/

コメント返しが遅くなりまして、申し訳ありませんです(;;)

えふぃさんは、魔法使いの小説を書かれていらっしゃるのですね。
是非、近々こちらからお伺い致しまして、改めてご挨拶させて頂きたく思います☆

私の小説は、えふぃさんのお時間に余裕が御座います時にでも、読んで頂けましたら、幸いと思います。
私のところへお越し下さって、有難う御座いました(^0^)
2007/03/03 18:41  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top


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