「ッ!」
思わず舌打ちをしてしまったゲルドリック。
その一瞬の隙を見て、セグナは、ゲルドリックの腕に糸を巻き付け腹部を蹴り飛ばす。
「ウッ……!」
ゲルドリックは、腹部を押さえ、よろめきながらセグナとの距離を離してしまった。
セグナは、晴美の方向へ走る。
「晴美ィー、逃げろ!」
ゲルドリックの声に反応して動揺しているものの非常階段へと戻ろうとする晴美。
しかし、ゲルドリックの必死の叫びも虚しくあっさりセグナに捕まってしまった。
暴れぬよう手早く糸を胴に巻きつける。
「こいつは、お前に関係のある奴だな、ゲルドリック。これで、形勢逆転だな」
真っ直ぐにゲルドリックを睨むセグナ。
「リック!御免なさい。私……!?」
リックに謝ろうとした時、強引に口を塞がれる晴美。
「んん〜ん〜〜〜ん!!」
「五月蝿い。黙ってろ!」
首を左右に振って抵抗しようとしたが、セグナに強く抑えられて晴美は何も出来なかった。

「セグナァ〜〜〜〜、貴様ァ〜〜!」
拳を強く握り締め、途轍もない怒りをあらわにするゲルドリック。
「良いか。良く聞けゲルドリック。貴様は、これから俺の指示に従ってもらう」
「そいつは、関係ないだろ」
「貴様に指図する権利はないんだよ!これが、最後だ。良く聞けぇ!」
グルドリックは切り返すが、セグナに釘を刺される。
「―――分かった」
仕方なく押し黙る。
「これから、俺に着いてきてもらう。ある場所にな。そこでお前と再戦だ。お前とは、決着を着ける」
「………」
ゲルドリックは眼を細め、セグナを睨む。
「従って貰えば、この娘は無傷で返す。だが、俺を倒す事が出来たらの話だぜ?」
セグナの口元が歪む。
「………いいだろう」
完全に不利な条件と分かっているが、晴美が捕らわれている限り、従うしか無かった。
セグナは、晴美を抱かかえ、移動の準備を取り掛かりゲルドリックに念押しの一言を発する。
「これから向かう場所に着くまで、貴様の腕に絡み付いている糸は外すな」
ああ、と静かに答えるゲルドリック。
ゲルドリックの腕に絡み付いている糸は、あらかじめ魔導が通してあり、ゲルドリックの行動を制限する為の物だった。