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[Necro Boy] 高所の徘徊者 (23)
- 2006/07/30(Sun) -

 
窓の外から、晴れやかな小春日和の陽気に包まれて、心地の良い暖かな風が静かに病室へと立ち籠める。
「セグナさん。……その、御免なさい!私、セグナさんにそんな痛ましい過去が有ったなんて、知らなくて、つい………」
「良いんだよ。何でも話してやるって言ったのは、俺なんだから。それより、お嬢ちゃんには、ちょっと酷な話だったな。まあ、何にせよ、俺は、そいつを見つけて仕返しするまで、そいつを探しながら追うつもりだ。それが俺の目的だ」
「本当に、御免なさい。それと、セグナさんにお見舞いを持って来たんです。オレンジなんですけど、美味しいですよ。どうぞ、受け取ってください。」
 ビニール袋に入ったオレンジが二つ、セグナに手渡された。
「ありがとよっ!」
 セグナは晴美を見て、今まで見せた事の無い微かな笑顔を振舞う。

「―――!」

 晴美は、セグナのそんな表情を見て胸の奥が少し痛む様な感じを覚え、何も言えなくなってしまった。
 その後に、セグナは窓の方に顔を向けて、言葉を発する。
「おい!何時までそこで盗み聞きしてやがる。ゲルドリック!」
「え?」
 そんなセグナの唐突な発言に、晴美は何の事か理解出来ていない。
 すると突然、全開に開いた窓から、ゲルドリックが飛び込んで来た。
 相変わらず自前のバンダナはしているが、マントは羽織っておらず、上下黒一色の普通の服装だった。
「よう!昨日ぶりだな。気分はどうだ?」
 昨晩。お互いしのぎを削って戦った相手とは思えないほど、セグナに対して爽やかな挨拶。
「よう!じゃねぇーよ。てめぇ~。最初っから盗み聞きしやがって!俺にとっては今もてめぇは敵って事忘れんなよ!」
「お前、一体誰がお前をこの病院へ運んだと思ってるんだ?〝マナ・バーン〟起こしてからに気絶したお前を即座に抱えて、晴美をビルに置き去りにする訳にも行かず、晴美も抱えて、おまけに魔導切れで大変だったんだぞ。こっちは!」
「あっ、ポータルは無事なのか?」
 直ぐに自分の胸に手を当てて、確認するセグナ。
「人の話を聞いているのか、セグナ!ちなみにお前のポータルは無傷だ!」
「あのぉ~、リック。話が拗れてるよ!」
 ゲルドリックの袖を引っ張って止めに入る晴美。
 そこへ、さっきまで居た看護士が慌てて駆け寄って来る。
「此処は、他の患者さんも居る病室ですよ!お静かにしてください!」
「あっ、御免なさい。直ぐ止めさせますから」
 看護士に対して、何回も頭を下げる晴美。
「あれ!?彼方は昨日の劇団員の方でしょ?そうですよねぇ」
 看護士は、昨晩会ったばかりの特徴有りすぎるゲルドリックを見て問い掛ける。
「劇団員?いえ、私は漫才をやっております。このベッドに居る奴が私の相方です。今、漫才コンビ解消の話をこいつにしたら、ショックだったんでしょう。急に発狂し出しまして、困ったものです。すみません」
 思い付いただけの嘘を吐きまくるゲルドリック。
「てめぇ。何、適当ぶっこいてやがる………」
「私達は、これで、おいとましますので、それじゃ!」
 それは一瞬の出来事。ゲルドリックは、電光石火の如く、瞬時に晴美を抱え、3階である窓から飛び降りたのだった。
「何なんですか?一体?」
 看護士はセグナに疑問を投げ掛けた。
「お、俺に聞かねぇでくれよ!」
 頭を抱えたセグナが看護士を見ずに言う。
 ベッドに備え付けのテーブルに置いてあったオレンジが、一つ空しく床へ落ちる。

                 +

 双方言い合いしながら病院から出たゲルドリックと晴美。
「もう!何、訳分からない事言って、五月蝿くして、周りの患者さん達がビックリして眼を真ん丸にしてたわよ!」
 ゲルドリックの身勝手な行動と言動に、かなり怒っている様子の晴美。
「だからあれは、セグナの奴が悪い。どうしょうも無い事実だ!」
 精一杯の言い訳をするゲルドリック。
「そんな子供みたいな事言って、最悪だよリック」
「フハハハハハッ!」
「全然笑う所じゃ無いよ」
「すまん」
 晴美の冷たい視線に耐え切れなくなったゲルドリックは即答だった。
「………それよりも、セグナさんの目的の話、家返ってから話しても良い?」
「いや、全部話しは聞いてたよ。だから、大丈夫だ」
「でも………」
「俺は、セグナと同じ位、奴の事を知っている。ちなみにそいつの名前は、〝ロビエラ〟だ」
「えっ!?」

「―――俺もまた、セグナと同じ運命だからな」

 ゲルドリックの言葉と同時に、木枯しの様な強い風が二人の間を通り抜ける。


―――高所の徘徊者・完了―――
 
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コメント
--
高所の徘徊者完了お疲れサマでしたッ

なるほどセグナはツンデレだったのですね~

リックまたしても嘘というか言い訳というか…
魔導の戦いだけでなく見つかったときとかの弁解も慣れてる感じですね

次はどんなキャラが出てくるどんな話なんだろうと楽しみな(もとい気の早い)雪結アキラでしたッ
2006/07/30 16:39  | URL | 雪結アキラ #n08XGfOg[ 編集] |  ▲ top

-「高所の徘徊者」面白かったです!-
kikurageさん、こんばんは。劇団員から漫才の相方…二人の漫才もちょっと見てみたい(もちろん、セグナがつっこみで^^)と思ってしまいました…ヘヘ。いつかそんなパロディ版…いかがですか?と勝手なリクエストをごめんなさい^^;

コミカルに、でも最後はシリアスに、次への興味をひきつけて締める!流石ですね。次の章も楽しみにしております!
2006/07/30 23:01  | URL | あきらら #-[ 編集] |  ▲ top

--
雪結アキラさん

有難う御座います!

わぉ!ツンデレとは、またおつな表現ですね(*^0^*)
でも、確かにツンデレと言う表現が合ってると思います。
ゲルドリックが、出てくる前に、ちょっと、それっぽい雰囲気になりかけた(?)様な感じです。

そうですね。次のお話は、現在私の頭の中で、シナリオを構築中です。
少々お時間を頂けますと幸いです。


あきららさん

こんばんはです(^0^)/

楽しんで頂きまして、有難う御座います(^0^)
あきららさんのご提案、是非採用させて頂きたいと思います♪
実は、私の中で[Necro Boy]番外編、イクセス・ショート・ストーリー(読み切り小話)的な、ものを、本編掲載と一緒に掲載して見たいなと、思っていました~♪
それも計画しておりますので、どこかで掲載できれば良いなと思います(^0^)

高所の徘徊者編の最後は、話のキーポイントになる人物の名前を出して、インパクトの強いものにして見ました。
2006/07/31 00:54  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

--
―――高所の徘徊者・完了―――
お疲れ様です。続を早くも楽しみにしています。
「ゲルドリックは、電光石火の如く、瞬時に晴美を抱え、3階である窓から飛び降りたのだった。」
ここのくだり好きです 。
戦闘シーンではないのに、想像しただけで鳥肌立ちました。
ゲルドリックかっこいいです。

2006/07/31 02:07  | URL | Thanatos #-[ 編集] |  ▲ top

-漫才!!?-
リック・・・おもしろすぎる>ω<
ロビエラ・・・一体どんな人なんだろう・・・。
まだ全然想像ができない~!

リンクのお話!大変光栄です!!!!!ありがとうございます!ぜひぜひ私もリンク貼らせてください♪♪これからもよろしくおねがいします♪
2006/07/31 16:54  | URL | アポロ #-[ 編集] |  ▲ top

--
Thanatosさん

有難う御座います。

ゲルドリックは、自分の素性を知られまいと、素早く逃避した所ですね。3階の高さにもかかわらず・・・

魔導抜きにしても、超人的な力を発揮するのかもしれませんね(笑)


アポロさん

ロビエラは、まだ素性が出ておりませんが、かなり重要人物です。
徐々に話を進めながら明らかにしていきたいと思います~♪

こちらこそ、リンクのお返事頂きまして有難う御座います。これからも、お互いにがんばっていきましょう(^0^)/
2006/07/31 20:35  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

-おはようございます-
私のところにコメントありがとうございました(^-^)さっそくこちらに来させていただきました
私事ですが今日帰省するので、後日ゆっくり読ませていただきたいなって思います(^-^)ちょっとになりますが拝見した時思ったのは、会話の流れがスムーズに表現されてますよねー。私も小説考えたりしてるんですけど、なかなか会話文が難しいです・・・。では、また伺いますね~♪
2006/08/01 07:38  | URL | 風月  桜 #MoMB3/sE[ 編集] |  ▲ top

-おはようございます-
「高所の徘徊者」
お疲れ様でした(*^ワ^*)

しかし…
2人とも、カッコいいです!!
かなりツボに入りました!
しかも、2人は同じ目的だったんですね・・・
晴美ちゃんが胸の奥がチクッとするの
わかります・・・

でも、リックは面白いですね~(^▽^)
晴美ちゃんとリックとセグナが
3人笑える時が来ますように。

続き、楽しみに待っています(*^ワ^*)
2006/08/01 09:01  | URL | かんげつ #-[ 編集] |  ▲ top

--
ちょっと忙しくて、更新だけで精一杯でしたが今、読みました。

おつかれさまです^^
戦いの後の柔らかい話も結構良いですよね。
こっちはストーリー的に最悪な状況をつなげないといけないので、ほのぼのは中盤に入れるしかないんです^^;

セグナの過去とゲルドリックの過去
それに等しくあるロビエラと言う魔導使いはどれほど強く、どんな物語があるのか楽しみです^^
2006/08/01 12:53  | URL | ☆浪鬼☆ #-[ 編集] |  ▲ top

-こんにちは♪-
kikurageさん、こんにちは♪
「高所の徘徊者」お疲れ様でした。

やっと1話から完了まで通して読み終えましたv-221
途中の戦闘シーンは大迫力でしたが
最終話は、なんとなく切なさもあり
また笑いもあり、微笑ましい場面もたくさんあって
とても楽しませていただきました。

今後「高所の徘徊者」の続編は書かれるのでしょうか?
それとも新たな小説に取り組まれるのでしょうか。

暑くて大変な毎日ですが、頑張ってくださいね。
楽しみにしていますv-22
2006/08/01 15:57  | URL | ひめ #0.2709HA[ 編集] |  ▲ top

--
風月 桜さん

ご訪問&コメントを頂きまして有難う御座います(^0^)

いえいえ。もう、読んで頂けているだけで、感謝しております。
私の場合、このようなアクション的な内容しか手掛けられませんが、宜しかったら、ご堪能くださいませ。

私も、風月 桜さんのステキな詩をまた是非、拝見したく思いますので、訪問させて頂きます。


かんげつさん

有難う御座います(^0^)

ようやく、セグナ編を終える事が出来ました。
そうなんです。実はゲルドリックも、セグナと同じく、悲惨な過去の持ち主だったのです。

リックとセグナと晴美が、仲良くなるのも、おそらく、そう、遠くない話です。

早く、次の話を更新できればと、思っております。


浪鬼さん

ゆっくりでも、構いませんですのに、本当に感謝しております。有難うございます(^0^)

浪鬼さんの小説は、その所がとてもハラハラして文章を追って行くにつれて、次が気になるので、いつも楽しみですよ♪

共通して目的の先にありますロビエラですが、まだ名前だけで、謎のヴェールに包まれております。
今後の展開で、徐々に素性を明らかにしていけたらと思っております。


ひめさん

有難う御座います(^0^)

一話から読み返して頂きまして有難う御座います。
戦闘以外の部分は、面白楽しく手掛けられたら良いなと思っておりました。
ですので、その様なひめさんの感想を頂けてとても嬉しく思います(*^0^*)

一応、高所の徘徊者が、[Necro Boy]での第一部になっておりまして、話は、まだまだ続きます。他に、番外編や[Necro Boy]とは関係ない小話などもUPできたらと思います。
2006/08/01 23:33  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

--
お久しぶりです~!思わず吹き出してしまいました(笑)漫才コンビを解散しようとしたら発狂したって・・・(爆笑)発狂したセグナさん見てみたかったです(^-^)
お互い敵なのにここまで和やかに話ができてるって・・・いいですね~(^-^)
2006/08/02 18:29  | URL | ひづきまよ #-[ 編集] |  ▲ top

--
ひづきまよさん

お久しぶりです(^0^)/

セグナとゲルドリックは、まだ、多少変な方向でいがみ合っています(笑)
もし、本当に漫才をやるとしたら、セグナがツッコミで、ゲルドリックがボケでしょうね(^0^)
この状態が、彼ら流の和解なのかもしれません。
2006/08/02 22:33  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

-お久しぶりです-
Kikurageさん

こんばんは!
少しご無沙汰です。
前回訪問した時、11話までで、
今日23話まで一気に読ませてもらいました。
セグナとゲルドリックの戦いシーン面白かったです~
というか、ハラハラしました。
ラストは同じ運命を背負っている物同士だったなんて・・
私の中では大-どん-でん-返しでした。

Kikurageさん、文章だけでなく、
イラストも上手で素晴らしいな(*^_^*)
彼らすごくカッコイイです!!

今日はこれで失礼しますが、
また、続編を読みに来ますね。
2006/08/26 22:38  | URL | Yuka #gK54MRCE[ 編集] |  ▲ top

--
Yukaさん

Yukaさん、こんばんは&お久しぶりです(^0^)

私の小説を拝見して頂いて、コメントまで残して下さいまして、有難う御座いました(^^)嬉しさのあまり、感激しております。

私もYukaさんの所へ訪問させて頂こうと思ってましたのですが、仕事の方との両立がなかなかシビアな為に、機会を逃してしまいました。
私も、必ずYukaさんの所へご訪問させて頂きたく思います。

有難う御座いました(^▽^)つ
2006/08/28 03:57  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

-はじめまして-
「高所の徘徊者」
c.pと申します。
一話から一気に読ませていただきましたっ。次へ次へと気になる展開で、クリックが止まりませんでした!晴美ちゃんの行動もきになるし、戦闘シーンはシリアスでも楽しささえ感じるほど。技と技、力と力のぶつかり合い!そして、お互いに訳あり、しかも、同じ目的だった!も~、ツボです☆
リック様の口からでまかせもツボです♪
時間のある時にしか来れないと思いますが、また読みに来たいので、リンク貼らせていただいても宜しいでしょうか?
2006/10/15 22:20  | URL | c.p #-[ 編集] |  ▲ top

-c.pさん、はじめまして(^0^)-
私の所へ、ご訪問&コメントを残して下さいまして、有難う御座いますm(_ _)mペコリ

以前から、あきららさんの所や、kazu osinoさんの所で、お見かけ致しまして、存じておりました(^0^)

「高所の徘徊者」を読んで頂きまして、有難う御座います。
c.pさんの感想が、とても、嬉しさのあまり、感涙してしまいました。
私は主に、戦いをテーマにしました、ストーリーしか、手掛けられませんが、これからどうぞ、宜しくお願い致しますm(_ _)mペコリ

リンクのお誘い誠に感謝しております。
もし宜しければ、私の方も、c.pさんのリンクを貼らせて頂きたく思いますので、改めまして、こちらから伺い致します。

有難う御座いました♪
2006/10/16 01:42  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

-Kikurageさん、ありがとうございます!!-
こんばんは☆です!
リンクの承諾、ありがとうございます!!
私も以前から存じてて、気になっていましたっ(^^ゞ照)
私の所へも訪問してくださり、感想までっ(>_<)私の方こそ感涙ですっ!
kikurageさんが手掛ける戦いは、スピード感は勿論、戦う理由まで感じられて、とっても好きです☆ギャグもありで、てんこもり☆
(嬉しさの余り、ちょっとテンション高くなってます(^^ゞ)
遅ればせながら、早速リンク貼らせて頂きました☆覗きに来ます♪
どうぞこれからよろしくお願い致します!!
2006/10/16 21:20  | URL | c.p #-[ 編集] |  ▲ top

-いえいえ、こちらこそ有難う御座います♪-
ご訪問&コメント、リンクのお誘いまで頂きまして、大変嬉しいかぎりです(^0^)

有り難きお褒めのコメントを預かりまして、大変恐縮しております。
小説の手掛けるペースが、結構遅めではありますが、こちらこそ、宜しくお願い致します☆
2006/10/17 08:06  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

--
「高所の徘徊者」がここで終了しましたね。
セグナさんと同じような運命を辿っていたと言うゲルドリックさんの素性が気になるところです。
次のストーリーの展開に期待します
2007/03/05 15:30  | URL | 要 #-[ 編集] |  ▲ top

--
要さん

「高所の徘徊者」を完読して頂きまして、有難う御座いますm(_ _)mペコリ

ゲルドリックが晴美に重大な事を話しました。
「ロビエラ」と言う人物。
未だ見えないヴェールに包まれておりますが、後々に大きく関わってくる人物です。
2007/03/07 21:58  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top


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