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[Necro Boy] 高所の徘徊者 (2)
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- 2006/06/12(Mon) -
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晴美は納得いかない顔をして、家に帰ってきた。
潤子に旨く言いはぐらかされて、クレープを二つも奢らされたのだ。一介の学生である晴美にとって、一〇〇〇円の出費は大きいのであった。 自分の部屋に辿り着くと、直ぐに制服から私服に着替え直すと、隣の部屋へと向かう。 そう、二週間前まで晴美の部屋の隣は、物置小屋のように要らなくなった荷物が、あちらこちらに散乱していた。それを整頓し、現在は匿っている男の部屋になっている。 晴美は、五年前に両親が離婚し、父親に引き取られ。現在、その父親は単身赴任中で、地方の社宅に住んでいる。 そのため、家には晴美が一人で住んでいるのだ。時々誕生日とか、イベントなどに、父親が帰って来る。 晴美が、高校に進学した頃、父親の転勤が決まって、一緒に引っ越す事を告げられたが、晴美はこの街が好きだからと、やんわり拒否した。父親も無理強いせずに、晴美の言い分を尊重して、出て行ったのである。 片親で離れ離れの家族ではあるが、お互いに思いやりのある良い家族なのだ。 晴美は、二回ノックをしてから部屋に入った。 「リック、体の具合は、どう?」 「ああ。大丈夫だ。肉体的には、かなり回復したよ」 この男の名は、ゲルドリック。 晴美は、呼びづらいとか言って、端折って呼んでいる。 ゲルドリックは、ネクロマンサーであるが故に、ほとんどの魔術を、使いこなす術者なのであるが、晴美自身、まだはっきり使う所をと見ていない為、あまり信用してなかった。 「他に、悪い所でもあるの?」 「此処暫く、動いてないから、エネルギーの回復が、ほぼ止まっている」 すると、ゲルドリックは、自分の胸を右手で探るように突き刺した。 実に異様な光景である。晴美は気味悪がって、少し目を逸らしている。 ゲルドリックは胸の奥で何かを掴むと、そのまま取り出した。 「これだ!」 「……な、何、それ?」 ゲルドリックが取り出した物は、丁度、占い師がよく使う水晶玉を薄黒くしたような物だった。 「ネクロポータル。俺のエネルギーの源が、これだ」 「これが、エネルギーの源?」 「そうだ。このネクロポータルがあるおかげで、膨大な不のエネルギーの扱いを可能にする」 「あの、リック。もっと解り易く、説明してくれる?」 「簡単に言うと、エネルギー調整をしてくれるアイテムだ。生物ってのは、生きている以上、常に体からエネルギーを出している。だが、体からエネルギーを出す事は出来ても、貯蓄する事は出来ない。垂れ流し状態だ。それ故に、普通の生物は、運動などエネルギー消耗の激しい事をすると、疲れを感じ、ばててしまう。このポータルは、その問題を解決してくれる。体から作り出されたエネルギーを、外に放出する前に、このポータルの中へ吸収し貯蓄される。貯蓄されたエネルギーは、放出する時には、数倍に増える。言わば、エネルギーの調節と触媒機能が付いたマルチキッドだ。解ったか?」 「今一、解らないわ」 「要するにだ、これが無ければ俺も唯の人間と同じって事だ。魔術者にとって、必需品なんだ」 ゲルドリックは、ため息混じりに言った。 「じゃあ、とても大事な物なんだ」 「ああ。無くす事は、まず有り得ないが、対等している同じ術者。つまり敵だな。敵の手にこれが渡れば、確実に破壊されるな。そうなったら終わりだ」 「破壊される前に、悪用されるんじゃなくて?私だったらそうするけど」 「それは無い。ポータルは、生まれながらにして、個人が体内に持っている物。もともとの持ち主しか適用され無い」 「へぇ〜。そうなんだ」 「だが、裏社会で、このポータルをコレクションにしてる輩が存在している。俺も、よく狙われるがな」 「あっ、リックに話そうとした事があったんだ。忘れてた」 晴美は、ポン、っと手を叩く。 「ん?なんだ?」 「私の友達から聞いた話なんだけど。ビルとかの高い所で飛び回ってる影、もしくは、幽霊、妖怪が出るって話。心当りあったりする?私はてっきり、リックの仕業かと思ってたんだけどね」 「そいつは、酷い誤解だな。俺は普段、ビルを飛び回ったりしない。ビルなどの大きい建物の死角を利用する事はある。それに、そいつは、世間で言う幽霊とか言う奴なんだろ?周りが、勝手に騒いでるだけだろ」 「それが、そうでも無くて、一昨日、行方不明になった人が出たの」 「行方不明?」 「うん。話では、その幽霊だか妖怪を追って、そのまま居なくなっちゃったんだって」 ゲルドリックは心当たりがあるのか、難しい顔をしながら顎に手を当て、少し考え出した。 「まあ、よくある怪談話かもしれないし、そんなに気にする必要無いかもね」 ゲルドリックが真剣に考えるのを見て、この話の信用性が不安になった為、晴美は、無理やりはぐらかした。 「―――――晴美。俺の予想だと、そいつは、幽霊や妖怪の類では無いな」 |
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