スポンサーサイト
- --/--/--(--) -
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
[Necro Boy] 自然共存を求む者 (42)
- 2006/11/30(Thu) -

「なっ………!?」
 たった今起きた現状を掴めず、眼を広げ険しい顔のまま、絶句、唖然とするリシェット。
 ゲルドリックの発した言葉と同時に、ソードスパイダーの右の前足が付け根ごと、宙に吹っ飛び、加えて、腹部の辺りを横からえぐった様に貫通した穴が開いて、血を撒き散らす。
 ゲルドリックは、言葉を発しただけで、直接ソードスパイダーには、指一本触れてはいない。
 リシェットも、それは目の前で確認している。だからこそ、唖然とせざる終えないのだ。
 ゲルドリックの体を覆う靄は、一時こそ、黒く覆っていたが、それも、空気と交わる様に、段々と薄くなり消えて行く。
「ギリギリだった。だが、〝順道無き転換〟は、成功した様だな」
 今まで、九死に一生得た状態で、吐血交じりの為、満足に言葉を発する事も出来ないはずだったゲルドリックが、普段の冷静さを感じさせる物腰で、その場に平然と、立っていた。
 ゲルドリックの体に覆っていた黒い靄が完全に晴れると、ゲルドリックの平然としている理由が、リシェットも眼の当たりにして、理解した。
 ソードスパイダーの鋭い前足で、ゲルドリックの右肩と、腹は、串刺しにされ、貫通していた致命的な怪我は、何所にも確認できず、元々怪我を負っていなかったと思う程である。
「何故だッ!何故まともな体で存在しているッ!?」
 手を強く握り締め、疑問と、怒りが篭った態度で、言葉を発するリシェット。
「先程、保険を掛けたと言ったはずだ。リシェット。俺は、その大蜘蛛と接近戦に入る前に、魔導でそいつの体と俺の体の神経から感覚までの領域を、同調させたのだ。そこまでの下準備が済めば、例え、外的なダメージを受けたとしても、後はこちらの都合で、いつでも同調させた相手へ転換出来ると言う訳だ」
 表情を変えずに起きた事を語るゲルドリック。
「余りにも容易いから疑いの要素は、あったけど……、そう言う事。やっぱり、パーン一族の人間は、食えないわねッ!」
 リシェットは、ゲルドリックを鋭く殺気を放ってはいるが、納得の表情を浮かべる。
「だが、一つ、誤算が生じた。それは、お前がシャーマンだったと言う事だ。シャーマンであるお前に、もし俺が、串刺し状態にあったあの時、その大蜘蛛に放った〝不敬の流沙〟の方でなく〝順道無き転換〟を解呪されていたら、今、俺はこうして生きてはいなかっただろう。そう言う意味では、危なかった。しかし、幸いな事に、お前はそれに気付いていなかった」
 わざと、ソードスパイダーに串刺しにされた訳ではないが、保険と銘打って、〝順道無き転換〟と言う術を計算して、予めソードスパイダーへ掛けたが、リシェットがシャーマンだった事を正直に、予想していなかった事を語るゲルドリック。
「いいえ、気付いていたわよ。私が、ソードスパイダーを止めた時の物でしょ。だけど、どう出るか分からないパンドラの箱を自ら開ける気にはなれなかっただけの話」
 リシェットは、ゲルドリックの魔導によって、その場に崩れたソードスパイダーを見る。
 ソードスパイダーは、その体勢のまま、既に、息絶えていたのだ。その様子を確認したリシェットは、また、何かを小さく呟く。
「死んだものは、生き返らない。よって、治癒は、叶わないけど、せめて、安らかに………」
 リシェットは、そう言うと、緑白く光る右の掌をソードスパイダーの体に当てる。
 そして、リシェットの手に当てられた、ソードスパイダーの体は、段々と透けて行き、この世から姿を消した。だが、小さい粒の様な光だけは、その場に残り辺りを彷徨う様にして浮遊していた。
 しかし、それも、リシェットの周りを暫く回っていると、自然に消えていった。
「エルフの魔導使いの上、シャーマンの力まで、身に付けていたとは…、俺とそう変らない歳でありながら、魔導の鍛錬と平行して、シャーマンの知識や力を身に着けるなど、不可能に等しい。一体お前はどんな……」
「お前ら、パーン一族への復讐の執念一つで、何でも可能な限り、どんなに辛くても身に着けてきわ。皮肉だけど、短期間でここまでの力を得られた事を、彼方達には、感謝するわ。でも、それも今日で終わり。そう…、今日で、今までのすべてを終わらすわ。彼方の死をもって……!」
 ゲルドリックが言い終わらない内に、強い口調で掻き消す。そして、リシェットの口から出る言葉は、全く変らない。
 ゲルドリックは、眼を細め、改めてリシェットから放たれる、殺気を真っ向から受け止める。
 その時、ゲルドリックの右手の甲から、灰色の文字が浮かび上がる。
 その文字は、ケルベロスの背中から、浮かび上がった文字と全く一緒の物だった。
スポンサーサイト
この記事のURL | 自作小説 | CM(8) | TB(0) | ▲ top
<<こんばんはです! | メイン | [Necro Boy] 自然共存を求む者 (41)>>
コメント
-おはようございます-
今日はお天気もイマイチで
とても寒いですね~(ToT)

良かった!!
さずかリックですね!!
「保険」とは、そのような保険だったのですね!
さすがだ!!

しかもリシェットに正直に告げるなんて・・
リックは優しいですね(*^^*)

リシェットも、ちゃんとソードスパイダーを
浄化させてあげたなんて…
根は優しいのですよね…

これからどんな戦いが始まるのでしょうか…
浮んだ文字が、今度はどのようになるのか?!
凄く楽しみです!!(*^^*)
2006/11/30 08:38  | URL | かんげつ #-[ 編集] |  ▲ top

--
リック、流石!
やっぱり凄いですね~、リックは。
瀕死の状態だし、と思っていたら、大蜘蛛君が死んでしまった・・。
リシェットさんが気付いた”順道無き転換”の魔導を解呪されていたら、大蜘蛛君の状態になっていたということだったのですね。
よかった~。

リシェットさん、やっぱり優しい人ですね。「せめて安らかに・・・」
大蜘蛛君も、安らかに眠れたことでしょうね。
そんなリシェットさんが、リックに対するときだけ憎悪がかってしまう。
次回楽しみにまたきます♪
2006/11/30 19:22  | URL | kazu osino #-[ 編集] |  ▲ top

--
腰の痛みに不意を突かれて横腹から貫かれたリック。保険をかけといて良かったですo(^^o)もしや冷静に考えた上で?さすがリック☆しかもまだまだ何か出る♪底知れなさが怖いくらいに頼もしいっすv

ソードスパイダーを最後に解放してあげたリシェット。
憎しみに囚われ無意味な戦いと説いたリックの言葉に耳を貸さなかった彼女に、リックの想いは通じる時が来るのか!?
戦いのドラマw
ケルベロスの背中の文字は一体!??
楽しみです(^¬^)ノ
2006/11/30 22:44  | URL | c.p #-[ 編集] |  ▲ top

--
かんげつさん

こんばんはです(^0^)/

こちらも今日はあまり天気が良く無かったです。本当に寒く感じますね。

「順道無き転換」は、少しややこしいですが、予め魔導で指定した対象に対して、自分に受けた物を転換させるワザです。
それをリックは、保険と銘打っておりました。

リックにとっては、ソードスパイダーとの戦いも、本意ではなかったのですが、確実に自分を守るには、「順道無き転換」の様に予め、手を打つしかないのです。

リシェットは、召喚した物をけして、戦いの駒として扱いはせず、森に生きる物は、すべて大切にします。それが、エルフである彼女の優しさなのだと思います(^0^)

次は、また、ケンタウロスとケルベロスの方に視点が変ります。

次回も頑張ります(^▽^)つ


kazu osinoさん

こんばんはです(^0^)/

リックの魔導術は、成功しました。
リックの会話の通り、かなり危なかったようですが、ソードスパイダーを倒しました…。
そうなのです。もし、あの時、リシェットが、「順道無き転換」を解呪していたら、リックは、串刺しのままでした(^^;)

リシェットは、エルフです。エルフは森の防人ですので、森の生き物を大切に扱います。
彼女も本当は優しいのですが……
リックに対しては、皆無です(;;)


c.pさん

こんばんはです(^0^)/

前もって、ソードスパイダーに仕掛けたリックですが、彼自身、「順道無き転換」を使うのは、不本意でした。しかし、保険として、万が一の投資が役に立ちました。かなり危ない架け橋でしたけど…(^^;)
リックの魔導術は、駆け引きを用いたものが多いようです。

今回、リシェットのエルフらしい優しさが、出ております。エルフは、森の防人ですので、森の生き物を大切にしております。
しかし、リックに対しては、進展を見せずじまいです(^^;)

次回は、ケンタウロスとケルベロスの視点に移行します。

次回も頑張ります(^▽^)つ

2006/12/01 05:09  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

--
今度はゲルドリックの傷も回復してしまうとはwリシェットさんも生き物に対してはすごく優しさを見せてますがその優しさゆえに自分の一族を滅ぼしたバーン一族を憎む力をつけざるを得なかったんですね・・・可哀相です。
これでもし、彼女が復讐を果たしてしまったら、元々優しい表情を見せる彼女は何を思うのでしょうか。戦って得られる物といえばむなしさしか残らないはず・・・そんな気持ちにさせないようにゲルドリックにはぜひ勝って欲しいですね^^
2006/12/02 15:17  | URL | ひづきまよ #-[ 編集] |  ▲ top

--
やっぱリックはすごいですね、先の事を考えて行動している・・・・!!!
そしてリシェさんを敵なのに思いやって?ちゃんと話すところがリックらしいかなと(判りづらくてゴメンなさぃ↓

あ、「ソーキ」・・・そうなんですよ!チョット思いついたといふか・・・
あんな隅々までお返事くださってありがとうございました!!
2006/12/02 20:56  | URL | 妙 #-[ 編集] |  ▲ top

-お返事コメント遅れました(>_<;)すみませぬ!-
ひづきまよさん

おはよう御座います(^0^)/

悲しいことに、リシェットの強さの理由(原因)は、パーン一族にある事です。
リシェットの間違っている認識もそうですが、憎しみは、結局憎しみしか生まない事実を理解して欲しい所です。

温かいお言葉、有難う御座います(^^)
リックも、心強く思っております(^▽^)つ

次回も頑張ります♪


妙ちゃん

おはよう御座います(^0^)/

リックは、行動より、志向を先に立てて、戦うタイプの魔導使いです~!
リシェットは、森のエルフですので、生き物を大切に扱います。本来の優しさが、出た瞬間です(^^)

いえいえ、そんな事ないですよ♪
母親が、沖縄の人なので、「ソウキ」で直ぐピンと来ました(^^)

次回も、頑張ります(^▽^)つ
2006/12/04 05:42  | URL | Kikurage #-[ 編集] |  ▲ top

--
ケルベロスにかけられたものと、同じ呪文をソードスパイダーにかけたゲルドリックさん。彼は果たして、自らの危機から抜け出す事が出来るのでしょうか?!
次回の展開に期待します
2007/04/13 15:44  | URL | 要 #-[ 編集] |  ▲ top


コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://title07.blog70.fc2.com/tb.php/93-6a62975c
| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。